アニメ『GREAT PRETENDER』あのアビーに笑顔が！？第10話

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　とうとうシンガポール編ラスト！　今回は騙し合いよりもどちらかというとアビーの心の問題の決着の意味合いの方が強かったようにも感じられた。

　ルイスに過去のことを問い詰め、罪を吐かせようとさせるアビー。だが、ルイスはそれを否定せず、むしろアビーの怒りを煽るような返答をよこす。アビーはその挑発にまんまと乗せられて激昂し彼の首に刃物を突き立て謝罪の言葉を要求する。

　一触即発、あとい一歩でアビーがルイスを手に賭けてしまいそうになったところで、エダマメが飛び出したことで事なきを得た。

　ルイスの妻イザベルも、彼の自暴自棄な行動の真意を見抜き馬鹿なことはするなと諭す。ルイスは自分がいることで、イザベルを苦しめていると思い込み、誰かが自分を殺してくれることを望んでいたのだ。

　詐欺のフィナーレも近づいている。イブラヒム兄弟の元に近づいていたエダマメは裏カジノで損した分の金をどうやったら取り返せるか案を出せとすごまれていた。そこで考えだしたのは、チームオーナ―同士がつるんでいないことを証明することだった。

　サムは変装なしでローランの元に訪れ、身分を偽ったことを詫びてまた裏カジノに参加したいと願い出る。シンシアに頼んでアビーに10万、そしてクラークに全額賭けるといってきたのだ。賭ける金が多ければ多いほど信頼されるといったエダマメの言葉に乗ってしまった形だが、確実に勝てると信じているからこそできる暴挙だ。

　ローランはサムの裏カジノ参加を許し、サムの金を受け取った。もう既にここからサムの転落は始まっている。

　エダマメは、アビーがルイスを刺そうとしたときのことが忘れられずアビーとルイスにある提案をする。　その提案は図らずも、ルイスと最後に戦ったクラークをも救う事になる。

　クラークは最後の試合、兄には内緒でルイスと真剣勝負を提案して飛んでいた。だが事前に兄に細工をされ、あの痛ましい事故が起こってしまったのだ。兄のような金儲け主義ではなく、飛ぶことが好きだったクラークもあの事件を悔い、悲しんでいた。

　決勝戦当日。アビーとクラークの一騎打ちに観客は大盛り上がり。サムも大金が手に入るという興奮が抑えきれずカジノに足を運ぶ。

　だが、この日のパイロットは人知れずアビーからルイスへと変わっていた。一発本番であの決勝をやり直すのだ。もちろん、クラークはそのことを知らない。だがスタートしてから飛び方がいつものアビーでないことに気付き、終盤それがルイスであることを知り、彼も本気でこの勝負に勝とうと必死になる。

　ルイスにもクラークにも大きな遺恨を残した試合が、再戦されかなりのいい勝負が繰り広げられる。観客もみな息を飲みその結果を見つめる。ほぼ同時にゴールした機体。結果はクラークが僅差で勝利した。

　観客たちはそれぞれ悲喜こもごも、全財産をかけていたサムもさぞ大喜びかと思われたが、実際には真っ青な顔をしていた。裏カジノで結果を見ていたサムの目に飛び込んできた結果は、なんと勝者アビーの報。打ち上げられた花火もアビーのカラーが上がっている。

　賭けに負けたら掛け金は没収であり、異論は認められない。全額奪われ、部屋も追い出されたサム。だが、一般客のいる所に戻ると勝者はクラークになっている。ここでサムは自分が騙されたことに気付くが、もう遅い。

　裏カジノの部屋に戻るも、既に部屋はもぬけの殻。全財産を失ったローランはアビーをとらえろと命令を出す。アビーとエダマメは撤収がはやいというのは聞いていたが、ここまで早いとは予想しておらず、戻ってきてしまいサムに撃ち殺されそうになってしまうが意を決して高層階から飛び降りる道を選ぶ。

　アビーがつけていたパラシュートのおかげで難を逃れ、二人も逃走に成功する。

　ルイスに対し、大きな憎しみを抱いていたアビー。だが、レースのはじまる前に「すまなかった」と告げられた彼女は既に自分が彼を許していたことを知る。勿論彼女の過去が辛く壮絶なものだったことは変えようがないが、人を憎み続けることはできないのだ。エダマメに助けられたアビーは、今作始まって初めての心からの笑顔を見せた。。

　あのアビーが笑った―――！！　ということでシンガポール編はラストとなった。詐欺の仕掛けが結構詰め込みすぎにも感じたけれど、総じてアビーが笑ったからそれでいいと思わせる力があったし、ルイスとイザベルもまた飛べたことで大きな一歩を踏み出せた。クラークもしこりがあった試合を再戦し、しかも実力で勝てたことで自信をつけただろう。可哀想……というか全てを失ったのは悪党のサムだけというのも痛快だ。

　次回からはシンシアとローラン、どちらかがメインになるのかそれとも関係なくいコンゲームが繰り広げられるのか？　どっちにしてもスケールの大きい痛快な話が見れるならそれを楽しみにしたい。
（文=三澤凛）