アニメ『日本沈没2020』安住の地だと思われていたシャンシティの崩壊…第6話

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　新しいコミュニティの中での生活に焦点が当たってきたかと思っていたが、勿論それだけで終わるはずもない。

　カルト教団っぽい印象の強いシャンシティ。その中にも暗部はある。前回のラストでこの集団のトップの息子を連れてどこかに逃走しようとしていた疋田。彼は現在、地下にある牢屋に閉じ込められていた。

　今現在、この作品は日常の状況下ではないから牢屋があっても何となくおかしくない感じがしてしまうけれども、こんなことが起こる前からこの牢屋は存在していたのだろうことは想像に難くない。だとしたら、その用途はなんなのだろうか？

　疋田については、リーダーの息子を拉致し逃走を企てその間に2人の命を奪っていることから投獄されるのは仕方ないのかもしれないけれど……。カルト集団って牢屋もってるのはデフォなのか？　だとしたら怖すぎる。

　疋田が不在の理由を知らない歩たちは、彼がどうしていなくなったのか、まぁ元気でいるだろうなどと会話を交わしながらそれぞれがこのシャンシティでの生活に順応し自分たちの役割を全うしていた。

　歩は病人の世話をしており、寝た切りで会話もままならない男性の爪を切っていた。爪の中に病院のベッドの金属部分の塗装が入り込んでいたことが気になり、その患者が何度もその金属部分に触れていたことを発見する。

　なぜそんなことをするのだろうか、と思い問いかけてみるが返事はない。はいだったら瞬きを一回、いいえだったら瞬き2回、と意思の疎通を心見ると、彼はきちんと反応を示し、もしかして何か伝えたいメッセージがあるのかもしれないと考え始める歩。

　少し前の晩、剛が懐中電灯を使い空にいるであろう父親にモールス信号を送っていたことを思い出し、モールス信号がわかるアプリを急遽ダウンロードしておじさんの話を聞いてみることに。瞬きを繰り返すおじさんの信号を一文字ずつ文字に起こしていくと、現れた言葉は「オオキナジシンクル　ココキケン」。
　
　なぜ、この寝たきりのおじさんにそんなことがわかるのかと疑問がよぎる歩だったが、彼が地質学者の小野寺なのではないかと直感する。本人にそう問いかけると、肯定するように瞬きをした。

　このことでパニック状態になった歩は母や周りにいる人たちに地震がくるから避難しなければということを伝える。だが、母以外のここに住む人たちは皆「ここは安全に決まっている」と歩の話を聞いてくれない。だが、そんな議論をかわしている間に恐れていた揺れがこの地を襲う。

　今までの地震とは違い、大地を裂くような揺れ。シンボルのようにそびえたつ塔にも亀裂が入り、そのがれきが住民を襲う。歩が触れ回った通り、ここは安心できる場所ではなく逃げなければならない場所へと一瞬にして変わってしまった。

　この集団のトップである室田は、住民たちを解放することを決め閉ざされた門扉を開く。さらに塔内を移動している間に、部下たちが蓄えてあった金塊や札束を持ち逃げしようとしている場面に出くわしてしまう。数人のものが同じように考えたらしく、最後にはその面々が拳銃で撃ち合い、とばっちりを食ってしまう。

　だが、自分は息子を守りここにいるべきと考え、塔の一番上にいる息子の元に向かうが、対面した瞬間塔の天井が崩れそのがれきが息子大地の頭部に直撃してしまう。息子を目の前で亡くしたことにショックを受け、自らの脱出はさらにありえないことに感じ塔の一番上で息子の亡骸と対面をしているところに、逃げずにいた信者たちも集まり、ここで最後を迎えることを決め塔の崩壊と共に彼らは崩れ落ちていった。

　カイトは地震が起こる前に剛から頼まれ疋田の救出に向かっていた。展示してあった弓矢を拝借し、牢屋に向かう途中で地震が起こってしまう。牢屋のカギを持ち、人を逃がすことに尽力していた浅田から鍵を受け取り、なんとか脱出を試みる。

　だが、疋田はモルヒネの効果が切れており苦痛に苦しんでいた。トップの息子をさらったのも錯乱状態からの出来事であり、自分の孫がもう生きていないだろうことも本当はわかっていた。疋田はカイトが自分も助けようとしれくていることに感謝しながらも、自分をこれ以上一緒につれていかなくていい、とカイトだけを逃がし、塔の中に残った。
　
　カイトはなんとか歩たちと合流し、車にのって逃げることに成功。彼らの車を奪おうとする輩が現れピンチに見舞われたが、塔に残った疋田が自慢の弓の腕で彼らの進行を助けたのだった。

　安住の地だと思われていたシャンシティ。そこも崩壊してしまった今、歩たちはどこに逃げるのか。地面が割れる現場に居合わせたとき自分がそこから生きる選択ができるのだろうか。
（文=三澤凛）