アニメ『フルーツバスケット 2nd season』少しずつ見え隠れしてきた本田透の闇…構成の巧さが光った第19話

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『フルーツバスケット』公式HPより

 今回は原作14巻80話、81話の生徒会の話を抜いた部分そして82話、と久々に今回はつなぎ合わせる部分が多い回だ。

 前回からの流れで依鈴に焦点を当てているので、由希と生徒会のメンバーたちの話については後程、という感じで少し出番はあるものの原作でがっつりとあった部分はカットされている。いつか生徒会と由希関連に焦点を当てる時に違う形で描かれるのだろう。

 混乱し取り乱した依鈴が目を覚ますとそこは透くんの部屋。初めて会ったときから透くんに対して感じていた予感に気付きたくないために、しっかりと透くんと対面したくないために再度暴れ出す依鈴。心配したはとりも様子を見に来ていたが、紫呉とはとり大人二人で止めなければ二階の窓から逃走してしまうのではないかという暴れっぷりを見せた。だが紫呉から、心配してもらいたくないなら体調管理くらいできるようになれ、という至極真っ当なことを言われて若干大人しくなったようだ。

 紫呉ははとりに、依鈴が自分に何度も呪いを解く方法を探しに来ていることを伝える。同じ十二支憑きでも、呪いを解くということを具体的に考えた人物はは少ないということが、はとりの表情からも読み取れる。それほどに途方もない話という認識なのだ。だが紫呉は、そんなはとりに対して「壊れていく音が聞こえないか?」と妖しく笑う。やっぱりこいつなんか知ってるだろ、と思わずに入られない。

 依鈴は、様子を見に来た透くんに対して、「呪いを解こうとするな」「関わるな」と強い言葉で牽制するが、この件に関しては透くんも譲れない。呪いを解くために自分もでしゃばりたいのだ、と訴えるとどうしていいかわからなくなってしまった依鈴は部屋を飛び出してしまう。彼女が転んだところに透くんが追い付くと、今までずっと我慢をしていた子供がするかのように、依鈴は透くんに抱き着き泣き出してしまう。

 依鈴は、初めて透くんを見たときから、彼女がいかに優しい人間であるかを知ってしまっていた。依鈴の周りの優しい人、ハルのように周りからの言葉を受け入れ、力を貸し、頼られる存在であろうことを見抜いた依鈴は、自分が透くんと向き合ったら彼女にのしかかるように甘えて、すがってしまうことが予想され、それによって優しい人が辛く、苦しい思いをしてしまうのではないかと怯えていたのだ。

 嫌われたくない、潰したくない。そんな想いと、一人では抱えきれない呪いを解きたいという不安な要素を抱え、誰にも頼ることが出来ず突っ張って生きていたら苦しいのは当たり前だ。 だが、呪いを解く方法が全く見つからない不安に押しつぶされそうな気持ちがとうとう結界して透くんへと向かってしまった。だけどちゃんと、彼女は受け入れてくれた。依鈴のさみしさや不安を聞いて、受け止めて一緒に悩んでくれる人なのだ。

 この騒ぎのあと依鈴は病院へと移り、透くんは足しげく彼女の見舞いへと出向くようになる。依鈴はその行動を、呪いについて自分から聞きだしたいという打算があるからではないかと勘繰っていたようだが、ただただ純粋に依鈴のことが心配で通ってきていたことが発覚する。依鈴が好きなゼリーを作って持ってくるなど、本当にただただ依鈴がはやく元気になるように、と思って通っているのが透くんらしい。

 毒気を抜かれた依鈴は、透くんに対して少し心を開いたのか自分の知る範囲の呪いについて話始める。生まれ変わっても永遠に側にいるという十二支と神様の間にもたれた約束。絆といえば聞こえがいいが、本人が望まなければそんな絆も呪いとなってしまう。

 慊人の近くにいる人間なら……ということで紫呉に狙いを定めていたが何も聞きだせていないことを話すと、透くんはそれならばクレノならば何か知っているのではないかと提案する。
だが、同じ十二支の依鈴から見てもクレノの存在は異端であり、あまり仲間だとは感じられないのだという。鼻息荒くクレノのところに行こうとする透くんを止めると、逆に依鈴も一人で行動をしないように、とたしなめられる。わだかまりが解ければ、あっという間に二人は仲よくなれそうだ。

 透くんがここまで呪いを解きたがっている理由が気になった依鈴は、彼女になんでそんなに頑張ろうとするのか、何が一番大切なのか? ということを問いかける。だが、透くんはその質問に答えられず終わってしまう。今までだったら一番大切なものは? と聞かれたら間髪入れずに答えられていたはず。そんな自分に、変化が起きていることに透くんはまだちゃんと目を向けようとしていない。
 
 少しずつ見え隠れしてきた本田透の闇。まだまだ先は長いのだけれども、依鈴の件がちょっと前進したことで近づいてきた感がある。改めて構成がうまい作品で、見ていてハッとしてしまう。
(文=三澤凛)

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