本当にこの作品は構成の仕方がピカイチ。引き込まれる展開と衝撃的な事件を挟んでそこからネタ晴らしに持っていくまでの流れが最高だ。見ていて思わず唸ってしまう。
あまりにも怪しすぎる沖の部屋。室内には怪しげな壺があり、護符も敷き詰められている。そして何よりも滴り落ちてくる腐敗臭のする液体……事件の香りしかしない。
ラジオのネタにすべく取材を進めることにするミナレと瑞穂。沖は彼女こと律子についてぽつぽつと語り始める。
温泉がきっかけで知り合った律子と沖。交際を開始するにあたってふたりで混浴の温泉に行くことになった。だが秘境の温泉ということもあり、その場所はかなりの山奥で、さらにところどころからガスが噴出。劣悪な環境だったため、キスをする直前で意識を失い倒れてしまったという。目を覚ました時には律子の姿はなく、発見されたのは沖ひとり。そこからずっと連絡もとれず彼女の遺体も見つかっていないという。
だが沖は既に彼女は死んでいると確信しているような節があると見抜いた。さらにこの腐敗したようなにおいから、沖が彼女を殺しているのではないかと推理。中原に救援をこっそりと頼み、自分は、においの元を探るために天井にあがることにした。
天井にはおびただしい数のハエが飛び回り腐敗臭が一層きつく漂っている。一帯に血が染み付いていて、ドンキで買った陰陽師コスもあっという間に真っ赤っ赤。そこで小さめなビニール袋が6つを発見。確実にこれはクロだと判断し、ミナレは警察に死体を発見したと通報する。
4台ものパトカーがアパートの周りを取り囲み、沖は逮捕された。ミナレは一連の経緯をビデオとレコーダーに収めていたものの、ポケットに入れていたために音質は最悪。これをどのように使って「波よ聞いてくれ」に使用するか麻藤は思案顔。
死体が出ているだけにあまり大っぴらに喜べはしないものの、かなりインパクトのある事件と接点を持てた。この接点を活かしてニュース番組などからこの番組に誘導できないか、と企む。だが結果的にこの事件は結局ニュースに乗ることもなければ、新聞の一面を飾るようなことにはならなかった。
そう、死体など出なかったのである。警察に呼ばれたミナレは事の顛末を聞かされる。鑑識の結果、屋根裏から出てきた肉は食用マトン。さらに家の捜査をしたところ、そのマトンが見つかった場所は沖の家の敷地というよりは元ミナレの家の敷地のもの。そう、あの謎の生臭い液体の原因はミナレにあったのだ。
引っ越した当初親から大量のマトンや果実酒をつけたものを持たされていたミナレ。とりあえず床下収納に収めていたという。そしてそのままその存在を忘れて幾年月……。マトン肉はそのまま腐りさらには重みに耐えきれず床下収納の床を突き破り、沖の屋上部分に落下。その液が少しずつ彼の部屋に雫となって滴っていたようだ。
まるで怪奇現象だと思いお札などを張り巡らしても効果もなく(あるはずもなく)どんどん精神的に追い込まれ、さらには律子の失踪事件などが重なってしまったということらしい。
これは沖には怒る権利がある。そんなわけで、収録にナミレと共にブースに入る沖。前回はゲリラ放送だったために名乗りも無ければ自己紹介もなかった番組だったが、今回は謝罪からのスタートである。
事件の概要と、自分が起こしたことが原因で大多数の方に迷惑をかけたことを公共の電波を使って謝罪。さらに、番組内にコーナーを作り律子の特徴を伝えて行方を知っている人がいないかを呼び掛けた。とりあえず沖がミナレにする予定だった告訴は取り下げられることに。
確実にミナレのせいで起こった事件ではあるし同情の余地もなさすぎるのだが、なぜか憎めないと感じてしまうのは何故だろうか。多分沖の立場になったら告訴待ったなしなのだが、見ていてむしろ清々しいほどにヤバイ事件を巻き起こすミナレをついつい応援したくなってしまうから不思議である。
自らの手で首を絞めるような行為ばかり繰り返してしまうミナレだが、次回はどんなネタを用意してくれるのだろうか。
(文=三澤凛)
TVアニメ『波よ聞いてくれ』部屋には護符が貼られ怪しげな壺も…滴り落ちてくる腐敗臭のする液体の謎とは第7話のページです。おたぽるは、アニメ、作品レビュー、波よ聞いてくれ、ラジオの最新ニュースをファンにいち早くお届けします。オタクに“なるほど”面白いおたぽる!
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