TVアニメ『波よ聞いてくれ』初放送で架空実況という無理ゲー…第5話

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TVアニメ『波よ聞いてくれ』公式サイトより

 とうとう「波よ聞いてくれ」がスタートする。

 番組収録のためにラジオ局MRSに向かったミナレは、瑞穂の誕生日を一番にお祝いしたいと意気込んでいたのに、麻藤が先にケーキをプレゼントしていた。中原の件でテンションが下がっていたミナレは、瑞穂のお祝いを一番にしたいと思っていたところを先駆けられたことでさらにダメージを受けてしまう。だけど瑞穂はいい子だ。一日に2回も祝ってもらえることがうれしいと、ミナレに告げたことでとりあえず機嫌はキープされ、そのまま打ち合わせに入ることになった。

 どんな企画をやりたいか考えておけ、といわれていたがミナレからの案はゼロ。しかしそれも麻藤の策略のうち。元々この番組は決まった企画などを設けずに流動的・実験的な企画を行っていくつもりだったそうだ。

 そんなわけで初回放送の企画は「架空実況」つまり、ありもしない出来事をさも本当に怒っている出来事のように実況するのだ。番組のタイトルコールも提供読みもなく、突然始まり突然終わる。まるで放送事故のような番組に仕立て上げるのだ。

 過去オーソン・ウエルズが宇宙から進撃を受けたような架空実況を行い世間が大パニックに陥ったという。そういった効果を狙っているわけではないが、普通ならできない放送、という点ではこの番組を模している。

 そんな番組をしたらスポンサーから怒られるのでは? というミナレの最もな意見にも、元よりスポンサーなど募っていないという麻藤。ミナレの番組は100%局持ちの番組なのだ。だから多少の冒険は許容されてしまうのだ。

 たとえ大ゴケしても、大きく迷惑がかかることがない。被害は最小限で済む。ラジオといえばなしゃべりが綺麗でリスナ―に愛されるパーソナリティにミナレを育てあげることも可能だが、麻藤はミナレの声をおもちゃにして遊びつくす方が面白いと判断したようだ。

 ミナレはブースに入る前に自分の魅力とは何かを麻藤に問う。ぶっちゃけしゃべらなければいい女であるミナレはこの仕事を受けることで男運が目減りしそうだが、だがそこに賭けたいといってくれる人がいることを実感し、根拠のない自信を取り戻し本番を迎えることに。

 今回の設定は「“光雄”という名の男を殺した女」を演じる架空実況。もらった台本はアドリブ部分が大半を占め、オチもミナレ任せというかなり無謀なもの。だが、過去に光雄という男にお金を奪われて逃げられたという過去を持つだけに臨場感はかなり出せそうだ。

 とうとう番組開始時刻に。なんとこのミナレの番組が始まったとき、この台本のモデルとなった光雄も今まさに女に刺されそうになっているところだった。そんな現場に鳴り響くタイムリーなミナレのラジオ。今まさに人を殺してきたという生々しい実況ラジオがスタートする。
 
 笑ったり泣いたり淡々としたりとかなり情緒がやばい女が彼氏を殺したと独白していく。アドリブ部分が突然所帯じみたりするが、真に迫る内容。光雄に恨みを抱いているのは本当だから情感もたっぷりだ。

 ミナレの声が白進に迫りすぎているせいか、いざ光雄を刺そうと思っている女性は段々パニックに陥ってしまい、最終的には光雄を刺すことはせず部屋を飛び出し車に轢かれてしまったようだ。おそるべしミナレラジオ。

 ラジオの内容はなぜか最終的に宇宙人がやってきてミナレを捕まえクローンの光雄が出てくるというとんでも展開に。しかしさすがミナレ、話にキチンとオチをつけて番組を終了させるという手腕を見せた。

 予想以上にきれいにまとめて終えたミナレは、ゾーンに入った可のような気持ちよさを得て1回目を終える。

 ネットでもそこそこの話題になったようで、ミナレの働くカレー屋にもミナレの声だったのではないか? と確認するものが現れるなど反響はまずまずだ。お店でラジオが始まったことを知らなかった中原は何故教えてくれなかったのか? とミナレを責めるが、それはお前がマキエといちゃいちゃしてたからだろうと直接は言わなかったものの彼の態度から確実に中原とマキエの関係を怪しんだミナレ。 

 この結果により、ミナレはカレー屋を辞めてラジオ一本でやっていくことを決意する。しかし、すぐにこの決意は揺らぐ可能性があるとのこと。
 
 まだまだ始まったばかりの波よ聞いてくれ。 熊と戦うまでは続くようだが、ここからまだ紆余曲折があるのだろうか。突然夜中にこんなラジオ流れてきたらちょっとこわいけれど、こういうラジオにたまたま巡り合うというのも楽しそうだ。
(文=三澤凛)

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