今回は榀子と浪がメインのストーリー。美大受験のために予備校に通っている浪。今まで独学で勉強していたらしく、周りのレベルについていけずに焦る様子が描かれる。
デッサンは鉛筆を使ってやるものだと思っていたのに、周りのやつらは見たこともないハケなどを使っていたりと見たこともないような描き方で、スピード感をもって描いている。得意だと思っていたことが、より得意な人が回りにいると自信など簡単に消失してしまう。
クサクサしている中、家に手料理を届けに来てくれた榀子の存在にほっとする。だが、彼女からポロリと兄の話が出てきたことから雲行きが怪しくなる。浪が絵を描き始めたのは、小学生の時に授業で描いた絵が入選したことからスタートする。やることなすこと、全て兄に負けていた浪が唯一兄よりもできたことが絵だったのだ。絵を描けば兄よりも認めてみらえることができたから。
その兄はもういないのに、榀子はふとしたときにすぐに浪と兄を比べて話す。それがずっと気にかかっていたのだ。このタイミングでも榀子はまたいない兄と目の前にいる浪を比べる発言をする。そこにいら立ちを覚え、浪は自分のことをもっと見てほしい、とこぼしてしまう。
元から隠してはいなそうだったが、きちんと榀子に自分を男として意識してもらおうという意志を見せた。榀子は彼を弟のようにしか見ていないことを告げ、浪は錯覚をしているのだと窘める。だけどそんな言葉で浪の気持ちが収まるはずもないのだ。
気まずいまま、二人が会わないままに榀子はお盆休みを利用して実家に戻る。浪の父親も一緒だ。浪はその間も予備校があるために東京に残る。その間に、榀子の前をちょろちょろする陸生のもとにイライラをぶつけにいってしまう。
もちろんただの八つ当たりでしかないのだが、彼のバイト先で喧嘩をふっかけたところにハルが現れる。一度自分にコーヒーをごちそうしてくれた少女が自分の恋敵のことが好きという不可思議な縁。
結局陸生は仕事があったために、浪がハルを家まで送る流れに。お互い好きな人には別に好きな人がいるという立場。この二人だから共有できる気持ちがあるのだろう。接点ができたからこれから二人の絡みも増えそうだ。浪のハルに対する印象は「変な女」。確かに、カラス連れてたら変な女である。
榀子は金沢の浪たちの実家に立ち寄り、死んだ湧の思い出に触れる。彼らの父はしばらく東京にいることから、この家を人に貸すことを決め湧の遺品の整理も進めようとしていた。
湧にとらわれている榀子のこともやはり気にかけていたようで、彼にとらわれすぎないでいてほしい、と榀子の背中を押そうとしていた。榀子も彼がいないことは理解していたのだろう。だが、彼がいない日常になれるのが怖くて金沢を離れていたようだ。
遺品に触れ、彼との思い出に触れ、前に進まなければいけないことを突きつけられた榀子は、桜の木の下に彼の姿を見て涙を流す。
ここから榀子は湧との思い出に区切りをつけて先に進むことができるのだろうか。そこから浪、そして陸生にはチャンスがあるのか。女性の恋愛は上書き保存といわれるが、相手が亡くなっているとなると気持ちのケリのつけ方はまた違うのだろうか。
でも榀子が何年も亡くなった相手にとらわれているのは見ているほうにも不健全に見えるから、彼の父の行動がいい方向に進んでくれることを願うばかりだ。
(文=三澤凛)
TVアニメ『イエスタデイをうたって』亡くなった人に縛られ続けるのは不健全か?第4話のページです。おたぽるは、アニメ、作品レビュー、イエスタデイをうたって、群像劇の最新ニュースをファンにいち早くお届けします。オタクに“なるほど”面白いおたぽる!
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