アニメ『虚構推理』中だるみした鋼人七瀬事件も終了 構成を考えさせられた第12話

アニメ「虚構推理」より

 とうとう最終回。長きにわたって続いた鋼人七瀬事件の終結と共に物語も結末を迎える。正直、鋼人七瀬編に入ってからは正直辟易してしまった。仕方がないのかもしれないが、ストーリー構成の難しさを考えさせられた作品だった。

 4つの解決策を全てだし切った琴子。その結果、鋼人七瀬は虚構であるという意見を大多数の人が支持し、六花さんの企みは否決された。さらに九郎の度重なる死を経て、鋼人七瀬を倒すこともでき、事件は一気に解決へと進む。

 六花のほうから九郎のパソコン宛に「今回は自分の負けだ」というメールも入る。やはり彼女も琴子と九郎がこの事件に関わっていたことに気づいていた。

 事件解決後、九郎と合流しホテルへ帰還。途中で琴子は疲れ切って眠りに落ちてしまう。 その間に元カノである紗季さんと九郎は最後の逢瀬。ふたりには、以前の関係に戻るという選択肢は残されていない。だが、今回の事件で再会したことで、やっと紗季さんも踏ん切りがついたようだ。
 
 鋼人七瀬のまとめサイトは消去され、琴子の繰り出した虚構が現実味を帯び、復活の可能性もなくなった。一連の流れの中で死亡してしまった寺田さんが、ただただ気の毒ではあるが、被害を最小限に抑えられたことは喜ばなくてはいけないだろう。

 紗季さんは九郎に、六花についての疑問をぶつける。六花は鋼人七瀬事件と共にまた闇に消えたが、彼女が第二の鋼人七瀬を生み出す可能性があるという。

 九郎と同じく死ねない体を持ち、その運命に翻弄されている六花。九郎はその体質を受け入れ、いつか人の寿命を迎えた時に自分の人生を全うできるのではないかと考えている。だが、彼女は積極的にこの能力を使い普通の人間に戻ろうとしているのだ。正攻法では元に戻ることはできないことを理解している彼女は、想像の中で自分の体を普通に戻せる能力を持つ怪物を生み出そうとしている。
 
 鋼人七瀬がどんどんと輪郭を持っていったように、作戦次第ではそういった存在を作り出すことができるかもしれない。もとよりどこか狂ったところがあったという六花。彼女は普通ではない考えで普通に戻ろうとしている。 
 
 そんな六花の企みは琴子が許すはずがない、と微笑む九郎。虚構と恋愛、というのがこの作品のテーマで所々に九郎さんの愛が見えるも、どこかぼやけていてちょっとモヤッとする。

 最後の最後はカップルらしいやりとりの応酬で「ごちそうさま」状態。ただ恋愛についても広告で謡っているだけにもう少し全話を通してボリュームが欲しかった。面白いけれど、どこか全体的にバランスが悪い。そう感じる作品だった。

 今後の展開があるのならもっとスピーディーな展開を希望したい。

(文=三澤凛)

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