アニメ『歌舞伎町シャーロック』伏線回収ですっきりとした最終回!大満足のラスト!

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『歌舞伎町シャーロック』公式HPより

 2クール続いた「歌舞伎町シャーロック」も最終回を迎えた。かの有名なコナンドイルの名著「シャーロック・ホームズ」の登場人物をもじった癖の強い登場人物たちが繰り広げた歌舞伎町での日々も今回で終了。

 殺人容疑で追われているシャーロックを回収したワトソン。シャーロックが起こしたと思われる犯行は全てモリアーティの暗示による自殺だったのだ。彼の暗示の発動条件は警察が被害者のフルネームを呼んだ時、モリアーティが名前を呼んだ時、そして、シャーロックがモリアーティのことを訪ねた時に発動するように仕掛けられていた。

 だからシャーロックの目の前で自殺が起こりさもシャーロックが犯人のように映ってしまっていたのだ。

 今まで自殺者が死の直前に叫んでいた数字。この数字がモリアーティからのメッセージとなっておりそれぞれのファーストネームの最後の文字を並べ替えるとある言葉が浮かび上がってくる。その言葉に隠されていたのが「PE」ピンクエレファントの頭文字だ。

 毎回出てくるけれど何の意味があるのかわからなかった時間を告げるピンクの像が、最終回にして重要な意味を持つ。ピンクの像を真正面から見える場所、そこにモリアーティの隠れ家があることを突きとめたシャーロックたちは現場に向かおうとするのをマイクロフトが立ちふさがる。

 このマイクロフトがなぜああもシャーロックを目の敵にしているのか、などの謎も残っていたが、彼はシャーロックを目の敵にしていたのではなく重度のブラコンで彼のことを心配するがあまりに盗聴器や隠しカメラを使用していたというのだ。おい、なんだその設定。

 シャーロックに「お願いだ、兄さん」と久しぶりに兄として扱われたことがうれしくてすぐいう事を聞いてしまうあたりにブラコン味を感じなくはないが、ちょっと無理やり感がぬぐい切れない。

 モリアーティの元に向かう最中、ワトソンはモラン邸でお手伝いさんから聞いたことをシャーロックに伝える。モリアーティの妹アレクは、彼の心に欠陥があることを早い段階から悟り、彼が道を踏み外さないようにずっとそばで支えてきていたのだ。そしてその役割を担う事が、彼女にとっての生きる意味になりえていたこと。それをモリアーティが知ったのは、アレクも死に自分の父親を手にかけた後だった。

 モリアーティの隠れ家にたどり着いたもののそこに彼の姿はない。中に入ると鍵が勝手にかかり二人は閉じ込められてしまう。この部屋を出るには謎を解かなければ仕掛けかれた爆弾が爆発するというメッセージを受けて二人は謎を解き、部屋を一つ一つ脱出していく。

 謎を解くたびに、そのカギやヒントの在処にはモリアーティを含めた長屋の面々やシャーロックたちとの楽しそうな写真が添えてあり、それがなんだか物悲しい。

 最後の部屋には高座が用意されており、演目には「生きているモリアーティ」の文字が。モリアーティからも「モリアーティってなんだ?」という問いかけが。ここで、シャーロックの推理落語の始まりだ。

 モリアーティに向けた最後の落語も、彼との思い出、彼を助けてあげられなかった苦しみ、自分は運がよかっただけでモリアーティのように殺人に手を染めることがなかっただけなのだというほんの少しのボタンの掛け違いによるものであることのやり切れなさがにじんでいた。

 友人として、モリアーティに向けて銃を突きつけ打ち抜くも、そこにいたのはマネキンのモリアーティ。そして、彼からの手紙が添えれられていた。

 もしもアレクが生きていたら、彼もシャーロックのようになれていたかもしれない。彼に憧れうらやましく想い、そうなりたいと願っていた。だけどなれなかった。まだたった16歳の少年のモリアーティは、自分が壊れたティーポッドだということに気付いていても、誰かと共にありたいと願い、孤独を感じるただの少年の部分も確かにあったのだ。

 最後の最後に「なんてね、ばーか」という彼の口癖で手紙がしめられていたのも彼らしく、涙なしでは聞くことができなかった。これからもどこかで姿を隠しながら生きていくだろうモリアーティ(どうやって生き残ったかはわからないままだが)彼の今後に少しでも幸せがありますように

 最後の最後はいつもの口上と最高のオープニングがかかって終わるという、すっきりとしたラストに。このオープニング曲と口上の組み合わせは毎回ワクワクさせられたのでとてもうれしい。色々とラストはご都合主義な部分も見られたが、それでも魅力的だったと思わされる作品だった。

 有名な作品をモチーフにしているが故に、モリアーティの出オチ感はあったものの後半にかけて彼の挙動がおかしくなっていくところは手に汗握った。フィクションの誤魔化しが世界観のおかげで成立しやすくなっていたのもよかったのかもしれない。
 
 オリジナル作品としてはかなりレベルが高かったようにも感じ、こういった作品がもっと生まれてほしい。素敵な作品をありがとう。
(文=三澤凛)

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