アニメ『魔入りました！入間くん』魔界は本当にいいところ！？人間界に戻る道が示されるが…第20話

• ツイート
• 

第20話「栄えある表彰／人間の処遇」

「栄えある表彰」

　とうとう表彰式の時。プレゼンターはアメリが務め、それぞれの賞が発表されるときがきた。賞は努力賞、すごいで賞、特賞の三種類が出される。それぞれに豪華特典がつく。

　入間はこの特賞を、キリヲにあげたいという思いで花火作りにいそしんだ。今ここにキリヲはいないが、それでもやはりその成果は認められたい。

　努力賞は、サキュバスバトラ。前夜祭・本祭共にその華やかさで祭りを盛り上げたことで選ばれた。このバトラには豪華バトラ室が与えられる。

　続いてすごいで賞は、魔術開発バトラが受賞。魔術体験コーナーなど生徒との交流を通じ、魔術の発展に貢献。新魔術にも目を見張るものがあったとのこと。彼らには団費増額にくわえて好きな商品をなんでも一つだけ贈呈される権利が与えられる。

　そしていよいよ特別賞。あれだけ学園のみんなに興奮と感動を与えた花火。絶対に賞を取っているはず！！！　という期待でドキドキとしながらアメリが発表するのを待つ。
　
　特別賞は、放送バトラ。バトラパーティ中の度重なるサプライズやトラブルにも冷静かつ迅速に対処し、２日間絶えず放送を続けた忍耐力は称賛に値する。ということで栄えある受賞と相成った。そういえば入間くんたちの行動にばかり注目していたけれど、確かに彼らは常にこのバトラパーティを支え奮闘していた。

　放送バトラは団長が2ランクアップ、団員も1ランクずつアップを贈呈された。サブノックくんをはじめ、入賞できなかった面々は残念そうだが受賞した人たちを気持ちよく祝う豪快な悪魔たち。　彼らは悪魔なんだけれどもかなりいい子たちが集まった学校だ。種族が違うというだけで人間も悪魔も何ら変わらず学園ものの作品を観ているという印象でしかない。

　しかし、誰も彼もが花火のことを忘れておらず「あそこが取ると思っていた」という話題が上る。それくらいに入間君たちが作った花火はインパクトが大きかった。特賞も発表になり、バトラパーティ終了の流れになりそうな中、現れたのはカルエゴ先生。

　先生は壇上でマイクを取ると、今回教師陣に報告もせずに危険かつ勝手な披露を行ったバトラがあったことを伝える。その披露は学校中から圧倒的な支持がありこの声を無視することはできず、新に賞を設置して送ることが決まったというのだ。その賞の名前は「トリッキーで賞」この賞を受賞したのはキリヲ先輩が代表を務め、入間達が在籍する「魔具研究バトラ」だ。

　代表者1名のランクアップが授与されるこの賞。本来ならばキリヲに渡したいところだがそれは出来ない。クララとアズ君に背中を押されて壇上に上がったのは入間君。

　キリヲの所業は先生には伝わっているようで、それと対峙した入間くんについても色々知っている様子の先生は、入間君が入学してからのことも含めて危険になれすぎていることを示唆し、もっと教師を頼れと注意する。さらに短期間での2ランクアップで得たランクを戒めとして刻むことも命じ、メダルを渡すのだった。
　
　頑張りが認められて賞を受賞できたことに喜び、さらに孫の晴れ舞台を喜んだサリバンおじいちゃんが入間くんを肩車したことで、学校中の視線が彼に注がれる。

　今まで目立つことを避けてきていたのに、彼はだんだんそれに慣れ始めている。人間だとばれるわけにはいかない。だが、入学してから彼が目立たなかったことなど一度もないのである。

「人間の処遇」

　そんな目立つ入間を遠巻きに眺めていた人物がいる。それはアメリの父、アザゼル。彼は魔関署警備長という仕事をしており、魔界の悪いやつらを捕まえるのが仕事だ。

　サリバンおじいちゃんが人間を魔界に連れ込んでいる、として投獄していたのも彼だ。彼は入間くんの身を案じ、ずっと目をつけていた。

　アメリと入間の関係を知らなかったアンリは入間を校舎内で見かけると連れ出し二人きりで話をするように仕向ける。彼はアメリが初めて入間と会ったときと同じように彼を凝視し、自分の思考の世界に入り込みます。このあたりが親子ですね。

　彼は入間に皆までは言わないが、入間をとても心配していた。サリバンがあそこまで執着する人間。些末に扱われひどい虐待などを受けていないかどうか、それを探るための凝視でもあった。

　過去に彼は人間に会ったことがあることを入間に告げる。そのまま四肢をもいで食べたというのは冗談で、魔界での記憶を消してきちんと人間界に戻してあげたことを教える。彼は入間が望むのであれば人間界に戻る道があるよ、ということを伝えるために入間に近づいたのだ。

　しかし、そこにアメリが入ってきたことで話がややこしくなる。アメリと入間が知り合いだったことを初めて知るアンリ。アメリも入間と会っているのが禁書である漫画を朗読するためということを伏せなければならないために、二人で親しくしているということを遠回しにいいすぎたせいで結婚を考えている相手であると誤解されてしまう。

　実は親ばかなアンリは突如入間に対して敵対心を持ってしまう。入間君何も悪くないのにさんざんである。

　ショックを受けすぎて具合が悪くなったアンリを連れてアメリは医務室へ。二人を見送った後、入間はアンリの言葉を思い出す。魔界に連れてこられたばかりのころはとにかくどうやったら人間界に帰れるかと考えていた彼だったが、魔界に来てからのことを思い返せば、楽しい思い出ばかり。

　人間とばれたら食べられてしまう、と思い隠していたが今度はこの生活、大切な家族や仲間と離れることを懸念して「人間だとばれないようにしよう」と改めて誓う入間。守りたい、この生活。

　人間界に戻ってもいいことなさそうだし、本当に魔界がいいところすぎる。このまま入間くんには魔界にいてもらいたい。
（文=三澤凛）