アニメ『推しが武道館いってくれたら死ぬ』働けずCDを買えないえりぴよが臓器売買を画策するほど追い詰められた!?　第5話

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釣りたい釣られたい

　今期安定して毎回面白いと思える稀有なアニメ。今回も最高だった。全力で布教したいのに、配信媒体がFODだけだというのが勿体ないる。見逃した人にもっと見てもらうためにも配信先が増えてほしいところ。

　両足を骨折してしまい、アルバイトができなくなってしまったえりぴよ。毎回買い占める勢いだった握手券付CDも1枚しか買えない体たらく。そのため、推しの舞菜はもちろん、他のアイドルたちからも「最近舞菜を推してない」という印象を持たれてしまう。
　
　中間発表の時点では3位にいた舞菜だが、あっという間に転落。最下位ギリギリにまで下がってしまう。他のアイドルたちもファンサにも力を入れているのでこの結果も仕方がない。その中でも舞菜と同じ後列組常連のゆめ莉が確実に票を伸ばしているようだった。

　推したくてもお金がないと現実的に貢献できないのがオタクの辛いところ。気持ちだけは誰にも負けないと思っていても、投票こそがオタクの愛を計る明確な指針になってしまうのが世知辛い。思い詰めたえりぴよは臓器を売るしかないだろうかと真剣に考え始める。

メイドあーやとの約束

　くまささんに誘われて気分転換に入ったメイドカフェ。そこでは、メンバーのあーやが店員として働いていた。推しがいるのにこんなところに来るなんて、と舞菜とれおにチクられたくないふたりは大慌て。結局彼らは口止め料代わりに1票ずつ自分に投票することを約束された。

　普段舞菜に塩対応されているえりぴよはここぞとばかりにあーやに「釣ってみてほしい」と頼みこむ。ちなみに「釣る」というのはアイドルが接触の際に良い対応をすることでオタクの心を掴むこと、または掴まれることを指すドルオタ用語だ。

　いくら舞菜に冷たくされてもめげないえりぴよ。でも彼女は舞菜が生きていてくれることこそが自分へのファンサであると断言。あらゆるオタクたちの鑑のような発言をする。

　たしかに同じ時代に生まれついて頑張れば会いに行けるんだから、本当に生きているだけで尊い存在、推し。だけどそのくらいの境地でいられるってすごいこと。現にくまささんは自分がれおにえりぴよと同じような対応をされたら死んでしまうとまで言うほど、舞菜の塩対応は話題なのだ。

　あーやから前回の中間発表で3位になったことを舞菜が喜んでいたと聞いたえりぴよ。やはり舞菜に積みたいという思いがあふれ出るがいかんせんドクターストップで働けない。またしても最終手段に出なければと、思い詰める。

　しかし、中間発表で思い詰めているのはえりぴよだけではない。メンバーのゆめ莉も自分の順位があがっていっていることに喜びと戸惑いが隠せずにいた。

ゆめ莉、突然の台頭のワケ

　万年後列組だったゆめ莉の新しい中間発表の順位は4位。そして大好きで背中をおいかけてきていたトップ3の一員眞妃が5位にランクダウンしたことも戸惑いの理由のだった。この二人の絶妙なグループ内百合カップルの行方もこのアニメの楽しみのひとつ。メンバーみんな仲がいいけど、このふたりは圧倒的にカップル感が尊い。

　眞妃の提案で、ゆめ莉が現在の順位の立ち位置でパフォーマンスをすることに。そこで見た光景は今までの後列ではみることができなかったもの。ファンが感涙にむせぶ姿や目に飛び込んでくるサイリウムの光景などが全然違い、感慨深い。

　今まであまりゆめ莉をまじまじと見ることがなかったファン側も、彼女のダンスパフォーマンス力の高さに気付くなど全体的によい効果を生み出したようだ。

　だが得票数が伸びた割には握手会の際にゆめ莉の列は伸びていない。これには美しい理由があった。ゆめ莉は眞妃にトップ3のままでいてほしいと思っている。だが、それと同じように眞妃はゆめ莉に上に登ってきてほしいと思っていたのだ。

　眞妃がゆめ莉のCDを大量に購入して地道に順位があがるようにと行動していたことからゆめ莉の順位は大幅にあがったのだ。

　もうなんだよ、この百合カップル……。お互いを思いあいすぎてる。何秒分もの握手券を使ってずっと仲良くしていてほしい。尊い。ありがとう。むしろこの関係を公表したら別のタイプのファンが増えると思う。

　一方えりぴよ。ステージの上からあーやが彼女にレスをしたことで、推し変をしたのではという噂が沸き立ってしまう。その噂は舞菜の元にも届き、最近金欠のために握手が1枚分しかできないことからも噂が事実ではないのかと思いこまれてしまう。

　毎回言葉が足らないことですれ違いが生まれてしまうふたりだが、このすれ違いはさみしすぎる。えりぴよは臓器を売るならどこがいいか、という的外れな話しかしないし、舞菜は自分に飽きたのか？　とも聞き出せない。その間にも噂は駆け巡る。

　オタが推し変をしてもアイドルから何かアクションすることは出来ない。待つしかできない、ということを実感して落ち込む舞菜可愛い。

　結局誤解をとくことは出来ていないが、えりぴよの気持ちは絶対に届くはず！　頑張ってもらいたい。だけど、臓器を売るのだけはマズイかも!?
（文＝三澤凛）