アニメ『虚構推理』九郎の身体の秘密…それは忌まわしい過去な第５話

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　“怪異”たちの引き起こすミステリアスな事件に立ち向かう［恋愛×伝奇×ミステリ］『虚構推理』の第５話が放送された。

九郎の体ができるまで
　鋼人七瀬と戦う九郎を発見し様子を見守る琴子の元に怒れる紗季もやってくる。九郎の体質を知り、恐れて別れた彼女は鋼人七瀬に殺され、そして蘇る九郎の姿を目の当たりにして衝撃を受ける。衝撃を受けるのも当たり前だが、一緒に見守っているのが琴子だからか、その反応がまるでおかしなことのように受け止められるのが不憫である。

　彼の親類縁者、何十人もが変死や病死を遂げているという。それでも彼は生きている。しかもただ生きているだけではなく傷を負ってもすぐに治る体を持っている。こんな得たいの知れない人物、河童が姿を見た瞬間に逃げ出す男だ。一般的な感覚なら結婚を考え直すのは何もおかしくはない。

　九郎がどうしてこのような体質になったのか。それは彼の一族が関係していた。彼の数代前の当主の思想から始まる。昔から、肝臓が悪ければ肝臓の強い生き物の肝を食べればいい、眼が悪ければ目のいい生き物の目を食べればいいと言われていた。では、くだんの肉を食べれば予言の力を得られるのではないかという考えた九郎の祖先。

　くだん、というのは頭は人間、体は牛の妖怪を指す。人の言葉を話し、未来を予言すると死んでしまうという。多くの予言は凶事であり、その予言は必ず的中する。

　祖先はどうにかしてくだんの肉を手に入れ、家の者たちに食べさせるも多くは死に、未来を予言するものもいたが命を落とすことには変わりなかった、だが当主はそれを何度も繰り返し、未来予知の力を得ようとしていた。だが、力を得ても件のように死んでしまう。それならば、と彼が思いついたのは一緒に不老不死の妖怪の肉を食べれば死なずに済むのではないかということだ。
　
　そうしてくだんと人魚の肉を手に入れては、家のものに食べさせることを繰り返いしていた。しかしいつまでも実験は成功することがなく、その実験もどんどん忘れ去られていった中、九郎はこの家に生まれた。

　幼い九郎のいつも通りの夕餉。家族みんなで食卓を囲んでいたら突如周りの家族がバッタバッタと死んでいき、自分だけが生き残った。さらに全員が死んでいるのに自分の生存を不気味なほどに喜ぶ祖母。まさか自分が実験の成功例だなんてその時には思いもしなかっただろう。そこから九郎は、祖母に何度も不死身かどうか、予言ができるかの実験を行われたせいで体が痛みを感じなくなってしまったという。

　かなり壮絶な過去を持っていた九郎。このことを、紗季さんは知らない。知られたくもなかっただろうし、知らない紗季さんと付き合っていたことは九郎にとっては幸せな時間だったのだろう。

　鋼人七瀬との戦いに一区切りがついたところで、九郎と合流した琴子。ついにモトカノ紗季さんとご対面の時である。今カノである琴子が心穏やかでいられないのは言うまでもないが、当の本人たちも気持ちは複雑だろう。

　とにかく今はそういった感情は抜きにして鋼人七瀬についての話し合いが先決だ。まずなぜ九郎がこの場所にきたのか。それは、琴子と付き合ううちに妖怪たちからもおひぃ様の代わりに話を聞いてくれる存在という認知が広まってしまったことから、鋼人七瀬が出た際に琴子より先に出向いてしまったというのが真相だ。

　だが、鋼人七瀬は怪物たちに恐れられる九郎を見ても怖がりもせずに襲ってきた。彼女は妖怪だが、倒すことは出来るのだろうか。倒すことは出来るが、それには紗季さんの手を借りる必要がある、と琴子は考えている。
　
　鋼人七瀬は普通の妖怪たちとは違い、現代に生きる人間の妄想と願望が作り上げた想像力の怪物だという。それというのも、口裂け女を代表とした人のうわさから存在が作り上げられていったものは、その特徴や伝承が口頭で伝わり、そこに名前がついたことからイメージとして定着し、実態を持ってしまうことがあるというのだ。

　鋼人七瀬は現代のSNSなどを利用して爆発的に広まり名前が付けられたことで実態を持ってしまった。さらにまとめサイトができたことによって万人のイメージは共通し、それによって紗季たちが目撃した鋼人七瀬は皆のイメージと全く同じものになっていたのだ。ゆえに、まとめサイト自体が鋼人七瀬の正体なのだ。

　このまとめサイトを閉じれば、鋼人七瀬は姿を消すのか。そのためにはどうするのか。紗季さんに九郎や自分との住む世界の違いを分からせようとしての虚構だったりもするかもしれない。

　今カノになってもやはりモトカノには脅威を感じてしまうのは仕方ない。この三角関係にも、鋼人七瀬の事件が終わると同時に決着がつくのだろうか。
（文=三澤凛）