アニメ『宝石商リチャード氏の謎鑑定』言葉の使い方でその人の魅力が分かる？第4話

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　著者・辻村七子、装画・雪広うたこによる、累計発行部数40万部超えのジュエル・ミステリー『宝石商リチャード氏の謎鑑定』。第4話がオンエアされた。

　『宝石商リチャード氏の謎鑑定』は好きなんだけど、突っ込みどころが多い。物語の進行に波乱をもたらすための主人公や、重要なキャラクターが無自覚に他人を巻き込んで事件を起こす的な展開が苦手だ。だが主人公の正義もそういうタイプなのである……。
　
　今回のお客様は、婚約指輪を下見に来た山本という女性。希望の宝石はガーネット。婚約指輪といえばダイヤというイメージが強いが、特にこの宝石でなければならないという決まりはないという。

　ガーネットと言えばザクロ石といわれるだけあって、赤い石というイメージが強いが、リチャードが用意した石は赤だけではなく、緑や紫など様々な色のものがあった。組成の違いで色や名称が異なるがどれもガーネットには変わらないのだという。

　まだ山本は石を見に来ているだけで確実にこれ！ というものがあるわけではないが、ガーネットで婚約指輪という珍しさから正義の失礼な質問が連発してしまう。そのたびに顔をしかめられたりリチャードから厳しい視線が飛んだりするのだがなかなか気づかない正義……。ほんと、地雷踏みまくり出し空気読めないしで見ているこっちがハラハラしてしまう。

　というか正義は高級宝石商で働くのに大学生然としたラフな格好でお客様の前に出ていいんだろうか。そしてただのアルバイトが大事なお客様の商談の席に同席してもいいのだろうか。

　そんな正義の元に後日リチャードから一通のメールが届く。その内容はいつも正義をどう思っているか、というもので過剰なほどにほめたたえるような内容が羅列してあり、正義自身も戸惑っていた。

　しかしこのメールを送った意味を問いただそうにもはぐらかされてしまう。そんな時に再度山本が訪ねてきた。そこで正義は「ルビーは山本様の石って感じですね」とまたもデリカシーのない台詞を言ってしまう。「どうせ私はルビーじゃないですよ」っとかなり正義の言葉に気分を害した様子の彼女。
　
　彼女はどうやら自身の美醜にかなりコンプレックスがあるようだ。リチャードの美貌をべた褒めしていた正義の言葉から、リチャードに顔で得してきただろう、と突っかかる態度をとってしまう。だがリチャードは出来た男。ちゃんと山本の素性を観察から言い当て、そんな山本だからこそガーネットを選ぶのは素敵だというようなことを説得力を持っていってくれる。

　彼女は下の名前が美人と書いてみと　と読むらしく、その名前のせいで人よりも美醜を気にして生きてきたようだ。さらに彼女は婚約指輪と言っていたが最近になって7年付き合っていた彼氏が他の女性と付き合うから、といって別れを切り出してきたようで、そのため自分に指輪を買おうと思っていたようだ。

　石を買うということが目的になってしまうと、その後恋人よりも長く共に過ごす石に対して嫌な気持ちがつきまとってしまうので購入を急ごうとしすぎるな、とリチャードはアドバイスするが、気持ちが少し頑なになりすぎていたようだ。

　　自分を卑下してしまう山本に、リチャードは自分が山本に感じる印象を宝石の話と交えて語り、気持ちを落ち着かせることに成功する。リチャードの話し方や、相手を決して軽んじて言葉を発さないところが滅茶苦茶かっこいい。上司として店員として人ととして信頼できる人ってこういう人だ。だからこそ、正義の言動がキツイのだが。

　山本が店を出た後に、リチャードは正義に話があると夕飯に誘う。銀座の資生堂パーラーで並び、先日送った褒め殺しメールについて切り出すと、彼はきれいや美しいと賛美する言葉が時として人を傷つける言葉であることを正義に説く。彼がよかれと思い、素直にその言葉を使ったことによって今回山本さんは傷ついたわけなのだ。

　そういうった不用意な言葉の効能を正義に知ってもらいたいと思ったから、リチャードはあのメールを送ったのであった。言葉の受け取られ方って本当にデリケートな部分で、現実でも多く問題になる。宝石店だからということに限らず、はっとさせられることが多い。

　正義の言動みて我がふり直せといった気持ちで次回も楽しみたい。
（文=三澤凛）