『江戸前の旬』の独特のテンションが面白過ぎる なぜ行列するほど繁盛していない?

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Kindle版『江戸前の旬』

 テレビ東京の深夜枠でのドラマも二期が制作された人気マンガ『江戸前の旬』(原作:九十九森、劇画:さとう輝)。1999年の連載開始から気がつけば20年。単行本も100巻に達しています。

 最近ではAmazonの読み放題サービスであるKindle Unlimited‎にも投入され、読みやすくなった作品。大人のための『コロコロコミック』ともいうべき掲載誌『漫画ゴラク』で長期連載になった理由が改めてわかります。

 物語は銀座にある寿司屋「柳寿司」の三代目になった柳葉旬が様々な体験を経て成長していくもの。バトルあり人情ありの作品です。

 プロローグ編である『銀シャリ!!』の時は高校生。本編ではまだ二十歳になったばかりで父親のもとで厳しい修行をしていた旬ですが、物語はそれなりに時間経過をしていくもの。気がつけば旬も三十歳は過ぎてますし、結婚して娘も生まれています。

 この作品が安心して読めるのは登場人物たちの善人度の高さです。まず主人公である旬は、四六時中ずっと寿司のことしか考えていないあたりで、めちゃくちゃいい人です。その前にコンクールであるとか野望とかで立ちはだかるライバルが時々出てきますが、旬がいいやつ過ぎるのか、ほぼ漏れなくいい人度がアップして仲間になっていきます。

 代表格は、登場人物の吉沢大吾。当初は同じ銀座に店を構える超高級店「嘉志寿司」の跡取り。寿司職人のくせに悪人顔のデブキャラでした。しかし、幾度かの旬との対決の後に京都へ料理修業に旅立ってフェードアウト。

 物語中で7年の時間。リアルでも同程度の時間を経て復帰。なぜかシュッとした別人みたいなクールキャラに。色々対決や協力の上で親友になってしまいました。大吾のほうは息子が生まれたので、旬とは「将来結婚させればすごい寿司職人が生まれる」云々と盛り上がっています(これもこの作品がファンタジーといえるゆえんです)。

 そんなキャラクターがおりなす物語なので『美味しんぼ』的なイラっとする展開はありません。食通であるとか「昔はよかった」系の客も姿を現したりしますが、基本は食べたものに素直に感動します。そうした寿司を食べた人、あるいは「○○の寿司はありませんか」と柳寿司にやってきた人が勝手に人生を語り始めて、みんな感動するのが黄金パターンです。

 気になるのは、そんな人情寿司屋の客層。若者やあまり金を持ってなさそうなサラリーマンなども常連になっているのですが、いったいどういうことか。柳寿司のロケーションは銀座。ランチ営業はなく夜のみ。一人前は5000円程度ということが物語中からわかります。

 サラリーマンが毎日通うにはキツい値段ですが、銀座にしては激安価格。なんでこの寿司屋に行列が出来ていないのかが不思議です。

(文=大居 候)

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