薔薇族だった時代 ~ハスキーボイスの水球男子 第58回

薔薇族だった時代 ~ハスキーボイスの水球男子 第58回の画像1画像提供:津田広樹

 昭和から平成に年号が変わる前年に、私はクライアントとして薔薇族広告ページに自社のビデオレーベル(一昨年権利を手放した)の広告掲載を依頼していた。

 薔薇族編集に在籍していたこともあり、伊藤文學編集長は広告1ページ掲載料金を半額にしてくださった。そのお気持ちが嬉しかった私は広告を追加して見開き2ページの広告掲載を毎月お願いしていた。そして無償で、ラーグラビアの画像も提供させていただいていた。

 体育会系ビデオの先駆者としてプレス経歴がないと入れない場所での撮影許可を得て、映像作品を世に送り出し始めていたので、私が薔薇族カラーグラビア用にお渡ししていた作品を伊藤文學編集長は高く評価してくださっていた。当時の私の会社のスタッフは、全て現役体育大生だったので他に類を見ないビデオ作品を世に出せていて好評を得ていたのだ。

 スイムキャップとゴーグルとスキーマスクで完璧に顔出しNGをアピールしているこの男子は、某体育大の水球部員でゲイだったH君だ。当時彼は水球部監督夫妻の家に居候していた。ある日、約束の時間にこないので(うちでアルバイトをしてくれていた)居候宅に電話をすると、監督の奥様と幼い娘さんが大声で「H君~」と呼んでいる声が電話口に聞こえて1分、寝起きの声で「すみません、寝坊しました、直ぐ出ます」と彼が出た。結局40分遅れくらいで来てくれた。「いつも部屋で全裸で寝てるんでヤバかったですよ~」と彼は言っていた。

 現在50歳くらいになってるはずだ。元気だろうか。ノンケに見える水球部員で、部員に内緒で宝塚の女優さんのファンで公演を観るのが楽しみだと言っていた、ハスキーボイスの男子だった。事務の才能があり「お客様の名簿を作成します」と送付先の地域別にきちんとした顧客名簿を作ってくれて助かったのを覚えている。

 水球で鍛えたH君の競パン姿を撮影した「津田広樹写真集」は、当時諸事情から世に出なかったが、令和2年の今、電子版として私のTwitterにて限定発売している。ぜひとも下記の津田・・・から始まるTwitterアカウントを覗きにきていただきたい。

【津田広樹プロフィール】
 いわゆる80年代アイドル全盛の時代にスチール撮影のみならず、その多才さを認められてグッズ等の企画発案にまでもマルチな才能を発揮したキャリアをもちながら、あらたなる新天地として当時の有力ゲイ雑誌であった薔薇族の出版会社に編集部員として転身。その後もさらにその非凡なる才能の昇華は衰えを知らず、グラビアや企画ページ等にも幅ひろく手腕をふるい、多くの絶賛を得るまでにおよぶ。そして1996年にはゲイ業界初の試みであった3D写真集付き映像ビデオ、ジャック・リードを発売し世に送り出した。
 さらにオリジナル競パン付きDVDの発売など革新を起こし続けるも、無断配信に苛まれ、2018年に全ての映像ソフトのレーベルを手離す。しかし長年ににわたり不変的な価値観を持ち続ける津田広樹の世界観は色褪せることのなく、その真価を現在も世に問い続けている。

津田広樹Twitter
@Wi08XKZE10Vb5rx

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