薔薇族の人びと 〜楯四郎編 男と女の小説だったら直木賞もの!

薔薇族の人びと 〜楯四郎さん 男と女の小説だったら直木賞もの!の画像1浅草怨念歌/楯四郎

 人間誰でも、ほめられるとうれしく、また書き続けようという気持にさせられる。素人の書き手にとっては最高の喜びだろう。

 『薔薇族』3月号(No.26)の「こだま欄」に、「楯四郎氏に拍手!」という反響が載った。

「楯四郎氏の独自の時代ものの世界は瞠目すべきもので、毎作、堪能しています。7号の「弁天小僧」12号の「俊寛」そして今度の「忠臣蔵」と、氏の演劇知識も巧みに生かした小説は、一般誌には見当たらないオリジナル形式です。

 現代ものでは同傾向の15号の「若衆変化図絵」は傑作でしたが、最近読み返したら13号の「同棲の季節」は楯作品らしくないように思われました。

 「忠臣蔵」は超労作とは思いますし、著名作家の作品に優に勝るとは思うものの少しペタンティック(いかにも学問、教養のあるようなふりをするようす)になってきたのが気になります。広範な読者層を意識されての親切な説明とは分っていますが……。

 ですが『薔薇族』の読者は、かなり高等な人の割合が多いはずで、知識層はえてして発言しないものだから、つい誌面に現われる若人を対象にして執筆されるのかも知れませんが、そんな配慮はされないで、純粋に楯氏の世界を構築して頂きたく思っています。

 その意味で別冊2号の「浅草怨念歌」は氏の最高傑作です。漢字の分量もほどほどで、読み易くもあり、こんなにも魅力に満ちた、密度の高い、新しい小説は他にありません。

 ベルエポックの下町の雰囲気の中に、生き生きと生きた男前の主人公のスリは、逢いたいくらいに描かれています。(『浅草怨念歌』は第二書房から単行本化しているので、古書でみつかるかも知れない)

 三島由紀夫さんの『禁色』を上まわって魅惑的です。そして関東大震災をラストに配した意外な結末。友人のジャーナリストは、これが男と女の小説だったら直木賞ものと言いましたが、同感の読者も多いことと思われます。

 毎作のことですが、濡れ場が淡白なのも格調があっていいです。ベッドシーンで興奮する人もいるでしょうが、あれは実際にするものなのです。

 楯氏のような作家を擁しているということは、類似誌と違って『薔薇族』がきちんとした雑誌であることの証左と感じます」(東京・一ファン)

 『薔薇族』創刊250号記念に『浅草怨念歌』を第二書房から刊行した。楯四郎さんの傑作5編を収録している。僕の担当編集にお願いして、もう二度と現われない楯さんの傑作作品をネットで読めるようにしたいと考えている。
(文=伊藤文學)

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