京アニスタジオの解体開始……跡地をどうやっても陰惨な事件の記憶は消えない

 いまだに世界のアニメファンが忘れることのできない事件となった「京都アニメーション」の第1スタジオ放火事件。現場となった京都市伏見区にあるスタジオの解体工事が本格的に始まっている。

 ここで注目を集めているのは、解体後の跡地の利用方法だ。解体を前に昨年12月、地元町内会は不特定多数が訪れる慰霊碑や公園を整備しないよう要望書を同社に提出。地元町内会も含めた跡地利用の協議を行うように求めている。

 第一スタジオの周囲は住宅地が多く、周辺道路も決して広くはない。慰霊のための施設などができたとしても大勢のファンが押し寄せれば混雑することは必至で、地元町内会の要望も理解はできる。

 ただ、もしも慰霊碑の建立や公園の整備ができないとした場合に利用方法をどうするべきかは、まったく想像できない。

 もしも、この土地がこれからも発展し町が再開発されていくような地域であれば、まったく問題はない。建物が替わり、人が入れ替わっていくうちに次第に陰惨な記憶は薄れていく。東京の場合は、この傾向が極めて強い。たとえば1943年に発覚した、育てられない子供を「養子に出す」といい103人を殺害していた寿産院事件の現場である新宿区の某所は、なにごともなかったように建物が建っている。映画『復讐するは我にあり』でしられる西口彰による殺人事件の現場である豊島区某所のアパートは、建物もそのままだが特に気にされている様子はない。

 実は陰惨な事件の現場が、公園になる例は多い。新宿区にある南榎公園は斎藤勇東大名誉教授惨殺事件の現場として今でもオカルト系サイトなどが取り上げることが多い。ただ、公園になってしまえば、そうした一種のマニアを除けば次第に記憶は薄らいでいくものだ。

 ただ、これは土地が猛スピードで変化しているためのもの。鄙びた郊外である伏見区で果たして事件の記憶は薄れていくかどうか。誰もが納得できる慰霊の方法は難しい。
(文=大居 候)

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