オール熊本アニメ『なつなぐ！』強引なストーリー展開も視聴者の心を掴むことには成功？第１話

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　熊本地震後、連絡が取れなくなった熊本の友人を探すため東京からやって来た大学生、欅（けやき）夏奈が情に厚く、個性豊かな熊本の人たちに出会って成長していくストーリー。地上波初の自治体製作アニメ『なつなぐ！』の第1話がオンエアされた。

　最近は町おこしなどの一環でアニメが製作されることも珍しくはなくなったが、地上波で自治体製作のアニメがオンエアされるのは初。5分番組の中でいったいどんなストーリーを見せてくれるのか。

　イラストのような独特の雰囲気なのが印象的で物語はスタート。くまモンの待ち受けとストラップをつけたスマホをもった主人公、夏奈。彼女のもとに「あいたい」というメールが届く。

　相手は、オンラインゲームで知り合った伊月という女の子。しかし、いつもの通りオンラインゲーム上で会話をしようと思ったら突然利用していたゲームの運営が終了してしまう。
　
　SNSを知らない相手ということで連絡手段が途絶えてしまった夏奈。なんでもこの突然届いたメッセージは4年ぶりに来たものだったらしい。
　
　「会いたい」の意味が何か分からず、だが彼女が住んでいた熊本が地震の被害にあっていたことが気になり、夏奈は大事なゲーム貯金をはたいて熊本にやってきてしまう。

　だが、持っている情報は過去に交換した住所のみ。空港にたどり着いたもののどうしたらいいのかと途方に暮れていると、突然見知らぬおばあさんが声をかけてくる。熊本弁全開で手持ちのドーナツをわけ、さらに送っていくと無理やり車に乗せて出発してしまう。

　これは大らかさなどを表現したかったのだろうけど、立派な拉致なのであんまり関心できない演出だ。幸いなことにおばあさんは悪い人ではなかったのだが、伊月の住所だった場所の近くに降ろしててもらうと、そこはなんと更地。伊月はどこにいるのか。

　強引なストーリー展開に感じるものの、この先どうなるのかという期待を持たせることには成功しているようだ。キャラクターも京アニのイラストに近いというか、アニメファンを意識して作られたようなデザインであった。ちょっと残念なのは、主人公・夏奈の声優の演技があまり上手に聞こえない点か。

　声を可愛くしようとして演じているのか、不自然さが目立つ。もっとジブリっぽくナチュラル路線にするのであれば、気にならなそうなだが……。

　次週以降、熊本の持ち味をどのように出してきてくれるか期待したい。
（文=三澤凛）