偶然の出会いは減った。コミケ=買い物になってしまったことへのもの悲しさ【コミケ97あれこれ】

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コミックマーケット97より

 盛況の中で終わった2010年代最後の冬コミ。2020年のコミケは5月開催。そして、東京五輪を挟んで巨大化した東京ビッグサイトでどんな空間へと進化するのか。

 そんな期待と不安の中のコミケであったが、やっぱり気になったのは目玉となる爆発的な作品の不在である。考えてみれば、過去のコミケでは「勢いがますます盛んだな」と、それまで興味がなくとも気になる作品が目に付くことが多かったものだ。

 そう、本編を観たこともないのに薄い本を買って「こりゃ、面白いので本編を……」という体験をした人は多いだろう。いや正確には「面白いから」よりも「エロいから」のほうが多そうな気もするが。

 いわば偶然の出会いというヤツであるが、今となってはコミケでそんな出会いを得るのは難しい。理由は簡単である。あまりに会場が広く、ジャンルが多くなりすぎたからである。

 晴海を知る古参参加者であれば、足早に回ればぐるりと会場全体を見ることができたことを覚えているだろう。しかし、東京ビッグサイトの広さではそれは無理。それに、ジャンルも細分化しすぎた。

 己の体力や気力の低下も影響しているのかもしれないが、もうコミケという場は事前にカタログなどを見て、あるいはSNSで「この本は面白そうだ」と思ったサークルを回る純粋な買い物の場となっているのである。

 それで多くの人が楽しめているのだから、まったく問題はない。けれども偶然の出会いが減ってしまうのはちょっと悲しい。コミケの利点は「なんでもアリ」ということ。いくら通販や同人誌ショップが便利になっても、そこでしか見つけることのないものは多い。それに偶然の人との出会いもあるはず。発展の中で、そうした素朴な要素が失われてしまいつつあるのは、少しもの悲しい。
(文=コミケ取材班)

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