監督・あおきえい、 脚本・舞城王太郎が創り出すオリジナルSFミステリー『ID: INVADED イド:インヴェイデッド』の第1話がオンエアされた。
公式サイトもあまり情報を出さず、「とにかく作品を観ろ」というメッセージ感が強く出ている印象だ。
冒頭、不思議な光の中を進むようなイメージから始まり、主人公が目を覚ます。すると突如自分の体が輪切りのようにバラバラになってしまう。一体何が起こったのかと、自分が何者なのかと自問自答し始める。だが意識すると、自分の腕や足が動くことが分かり、どんどん意識がはっきりしていく。
だが、視聴者には状況が読めない。津田健次郎の声と主人公のヴィジュアルがあまりマッチしていないということだけは、なんとなく感じられる。主人公もまだ自分がいる世界について分からず、不安定さの上をさまよっている。
その緊迫感を煽るように、突如胸元をナイフで一突きにされた死体が現れる。その死体を見て主人公は「カエルちゃん」とつぶやいてしまう。その瞬間、自分の名前が「酒井戸」であること。そして何よりも大切なこと、自分が「名探偵」でありカエルちゃんの死の謎を解かねばならないということを思い出す。
場面が一気に変わり、酒井戸が覚醒したことを知り、慌ただしく動く組織が映される。名探偵・酒井戸がカエルちゃんの死の真相を推理する間に、「連続殺人犯穴あき」の真相を穴あき自身の殺意の世界から解き明かすことを目的としている組織らしい。
つまり酒井戸がいる世界は現実世界ではなく、この組織に管理されている穴あきの殺意の世界ということ。その中に潜ることで、何かしらのヒントを得ようとしているようだ。
この酒井戸がいる世界は「イド」とよばれる人間の無意識の世界。酒井戸を観察する百貴たちは、そこから現実を拾い上げ捜査を進めている。
さらにイドは殺人の衝動そのものの世界であり、この中に入れるのは殺人を犯したことがある人物のみらしい。その中で名探偵をやってのける酒井戸もまともな人物ではないと、イドから情報を得て捜査を行う外務分析官の松岡が説明する。
「イド」というネーミングは、フロイトの自我の意味と異界に通じる意味の井戸と異土にかかっているようだ。
3つの視点から事件を追い、さらにその後ろに「ジョンウォーカー」という人物が見え隠れしている。穴あきという殺人犯もかなりやばそうだが、それよりもヤバイのだろうか。
世界観も特殊、情報がほとんど出ていない、視聴者にあまり優しくないが、この訳の分からなさについつい惹かれてしまう。謎が山積みだ。今後に注目したい。
(文=三澤凛)
TVアニメ『ID: INVADED イド:インヴェイデッド』人間の殺意に潜り込むイドとは…フロイトの精神世界も取り込んだ期待の第1話のページです。おたぽるは、漫画、アニメ、作品レビュー、マンガ&ラノベ、あおきえい、津田健次郎、SF、ミステリー、ID: INVADED イド:インヴェイデッド、SFミステリ、舞城王太郎の最新ニュースをファンにいち早くお届けします。オタクに“なるほど”面白いおたぽる!
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