鉄仮面……誰だよお前は。カオスすぎたコミケ評論ジャンルの総括【コミケ97あれこれ】

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　コミケの良さは「なんでもあり」であるところ。その来る者は拒まずを体現するのが、評論ジャンルである。評論とはいうけれども、純粋に評論をしているだけではなく、無数のオンリーワンなジャンルがあふれる空間である。

　今回もそこでは、様々なお宝が手に入った。

　まず、今回「これはいいものを買ったな」と思ったのは、凡天劇画会による『小説　柳川次郎　男の星座』だ。劇画作家としては『混血児リカ』などの作品を残し、刺青界でも多くの人々に記憶される凡天太郎の作品やグッズを刊行する、このサークル。今回の目玉であるこの本は『実話ドキュメント』（竹書房）に連載された表題作を一冊にまとめたものだ。

　本に記された説明によれば、「柳川次郎が柳川組解散後に創立した政治結社『亜細亜民族同盟』顧問を務めた凡天太郎が描く事実を元にしたフィクションノベル！」とある。あらためて凡天太郎の人生の濃さに驚く一冊だ。

　さて、昨年は中核派がサークル参加して話題になったが、今回は参加サークルに名前がナシ。どうも落選したようで、Twitterではコミケ合わせ（？）で秋葉原駅前にて情宣をしていることが記されていた。コミケに参加してないのは残念だなあと歩いていたら、合同誌を頒布している「広島大学文化サークル連合」と出会った。今年大学当局との自治を巡る戦いで注目されているところではないか。

　いうなれば、中核派のメンバーもいるくらいのグラデーションのサークル。で、合同誌の中身はといえば「ラブライブ！と弁証法」とか熱い文章が満ちている。やっぱり、こうしたノリのサークルは重要だ。

　また、初音ミクと結婚したことで世界的に知られる近藤顕彦さん（参照記事）は、二次元キャラとの結婚のノウハウ本を奥さんと一緒に頒布。奥さんが手渡ししてくれるのはいいんだけど、どうやって会場まで連れてきたんだ……。

　そして、いつもの妙なサークルである『やや日刊カルト新聞』では藤倉善郎さんが、またあの教団の衣装で。はたまた、オタ議員のおぎの稔さんは、F91の鉄仮面のコスなのでホントに本人なのか謎の状況。カロッゾ・ロナのごとく「素顔であれば今、お前を殴り殺していたかも知れん」とでもいいたいのか……？

　やっぱり評論スペースのカオスな感じを見ずして、コミケは語れない。
（文＝コミケ取材班）