『3年A組』から半年後という設定の『ニッポンノワール ー刑事Yの反乱ー』。第10話がオンエアされた。
今期最高のモヤモヤドラマの最終回!! 始まった当初からあった違和感。これが払拭されることを願いながら見ていた。
結論としては全く払拭はされなかったが、残っていた伏線はちゃんと回収され、真犯人も発覚。それに対しての主人公である清春の思いも吐露され、ドラマとしては綺麗に終わったようにも見える。しかし何だろう、最初から最後まで見続けてなお残る納得のいかない感じ。
このドラマで描かれたように現実の私たちの世界にも、知らない現実は潜んでいるのかもしれない。ニッポンノワールという名前ではないかもしれないが、そういった警察内部(もしくは政府内部)の地下組織のようなものがあって、私たちが気付かない間に生活を脅かすような計画が進行しているのかもしれない。
現実を疑うという思考を持つこと、真実を選び取ること、自分次第で人生は変わることなど名台詞も出てきたが、そこに感動できるような積み重ねが、このドラマにはなかった。かっこいいシーンも涙を誘うシーンも全て「だからどういうこと?」のように、根底が解明されないままに説明台詞と雰囲気だけで進んでしまうから感情移入ができなかった。
現代日本の闇を浮き彫りにするのならば、あのSFチックな演出や劇画チックな台詞回しは控えた方がリアリティが出ただろう。本当にこんな地下組織が存在しているのかもしれないというドキドキ感も出ていたかもしれない。
だがアニメを実写にしてしまったかのような中途半端なSF感は、ハードボイルド感がフィクション全開で薄ら寒い滑稽さばかりを露呈してしまった。バンバン撃たれる銃や、敵側のちょっと頭おかしいやつはみんな高笑い(いっちゃった設定のやつみんな演技一緒)、最後まで出てこなかったニッポンノワールの親玉など、全てが中途半端で引きつられる部分がどこにもない。最終話のためのこれまでの9話と謳っていた割に、そこまでの衝撃が真犯人にあるわけでも、才門の再登場への驚きもあったわけではなかった。
この一つ前のクールでオンエアされた『あなたの番です』、その前に話題をかっさらた『3年A組』に続く作品、さらにこの3年A組の半年後という設定を用いて期待を高めた上でなおこの体たらく。この作品を観ていなかったからわからない部分も多いが、この作品のファンだった人たちからも良い感想がネットにはあまりない。
風呂敷を広げすぎた感が否めず今期のドラマの中でワースト1位といっても過言ではない内容だった。来年からはこのクールで、『あなたの番です』で注目の役を演じた横浜流星が主演を務めるドラマがスタートする。今作の二の舞にならない作品をどうにかお願いしたいところだ。
(文=三澤凛)
ドラマ『ニッポンノワール ー刑事Yの反乱ー』最後まで中途半端でモヤモヤだけが残った最終回…何が悪かったのか?のページです。おたぽるは、アニメ、作品レビュー、ドラマ、SF、賀来賢人、ミステリー、ニッポンノワール ー刑事Yの反乱ー、3年A組の最新ニュースをファンにいち早くお届けします。オタクに“なるほど”面白いおたぽる!
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