『全裸監督』以降注目されるネット配信。寡占化で制作環境はどうなるのか？

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　映像制作の配信企業への依存が進んでいる。

「最近は、実写からアニメまで企画が立ち上がると、必ず誰かが＜Netflixに企画を持ち込もう＞というのが定番です。なのでNetflixに
人脈があると尊敬のまなざしで見られますけれども、だからといって企画が成立することなんてまずありえません」（映像業界関係者）

　今年に入って実写作品『全裸監督』が注目を集めたNetflix。アニメも次々とオリジナル作品の配信が始まっており、ユーザーの数は多い。これに対してAmazonなどの各社も追いつけ追い越せとばかりに独自の映像コンテンツの制作を進めている。

　続々と配信企業が制作する映像コンテンツ。それは世界規模で映像業界を変えつつある。これまで、ハリウッド映画やディズニーアニメなど限られた作品を除けば、実写からアニメまで、総じてメインの市場は国内や限られた地域であった。もちろんヒット作や意欲的な作品には海外に市場を求めるものもあったが、それはあくまで余力でやるもののように思われていた。

　ところがテレビや映画館で観るのと違い、どこでも誰でもネットに接続していれさえいれば視聴が可能な配信企業は違う。最初から、
世界規模の市場で展開することが前提の作品をつくることができるのが、当たり前になったのである。

「ネット配信が定着していけば、最初から一つの国の中にとどまらない広い地域での展開が想定されます。『全裸監督』も国内だけでなく海外でもウケそうなテーマでした。これからはそれが当たり前に求められるようになっていくでしょう」（前同）

　しかし、ネット配信がアニメから実写まで、業界の新たな希望になるかと疑問。寡占化が進んでいるゆえに、多くの制作会社が押し寄せ、制作単価は下落していくからだ。すでに、配信が寡占化したAV業界では制作会社の利益が減り、作品のクオリティも落ちている。「全世界に配信」は本当に未来のあることなのか。
（文＝大居 候）