単にオシャレなだけではない。台湾から来た 「誠品書店」のセンスが異常に優れている件

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誠品生活 日本橋 公式サイトより

 9月末にオープンした東京・日本橋の商業施設「COREDO室町テラス」。その2階にオープンしたのが、台湾からやってきた「誠品生活 日本橋」だ。

「誠品生活」は台湾では超メジャーなオシャレ書店「誠品書店」による、本と雑貨などを扱うセレクトショップである。台湾に行ったことのある人ならば一度は見かけたことのある、やたらとオシャレな書店。日本への上陸でいったいどんな反響があるのかと思えば、誰もが「オシャレなだけでなく書籍の品揃えも手を抜いていない」という。いったいどんなものかと、筆者も足を踏み入れた……。

 物はよいけど値段はそれに比例する……が当たり前の日本橋界隈。その一角にある「COREDO室町テラス」自体、入るにはそれなりの服を選ばなくてならないような雰囲気である。そんな建物の二階にある書店はいかなるものか。もしやオシャレな雑貨と同じく、見栄えのいいスカした本だけ並べているのではなかろうか。

 そう思って、まっすぐに向かう書店のエリア。ざっと本を眺めて筆者は思った「この書店の選書のセンスは只者ではない」。そんなセンスが光るのは、まずオピニオン系の雑誌の一角。だいたいの書店では売れ筋である『Will』や『月刊Hanada』あたりを大目に入荷して平積みにしているコーナーである。ところが、この本屋は違う。それらの雑誌はもちろんなのだが『創』や『紙の爆弾』。そして『情況』まで平積みで並べているではないか。

『創』や『紙の爆弾』はメディア関係者ならば読んでいるが、一般読者の多い雑誌ではない。『情況』なんて、それ以上。いつ休刊になるかのレベルではなく21世紀になっても刊行されていること自体が奇跡の伝統的左翼雑誌。今どき、こんな本を平積みで置いてあるのは新宿の模索舎くらいのもの。それがどうどうと並べられている。

 そんな「なぜ、こんな陳列を?」と思うのが、映画雑誌のコーナー。映画雑誌といえば、ちょっと気の利いた書店が目立つように並べるのはだいたい『映画秘宝』。ところが、この書店は違う。『映画秘宝』を挟むように『キネマ旬報』と『映画芸術』も並べているのだ。

 そんなコアな読者層が好む雑誌を数多く並べて誰が手に取るのか。いや、これが手に取りたくなるのである。陳列の魔力なのか、近くの洋雑誌コーナーに並べられた『NEWYORKER』や『Esquire』を「ちょっと買ってみるか」と手に取ってしまうのと同じような魔力。通りがかった客に「これらの雑誌には、自分の糧になることが記されているのではないか(註:実際、マイナー誌に書かれている広告主やら事務所やらに気を遣うことのない情報は重要である)」と思わせる力があるのだ。

 そして、それらマイナーな雑誌や書籍も揃えることで生み出されている「なんか役にたつ本がたくさんありそう」という雰囲気。単にオシャレなだけではないものが、たしかにこの書店にはありそうだ。
(文=昼間 たかし)

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