カラー、ガイナックス社長逮捕報道に強い怒り 貸付金の返還もまだ「係争中」と判明……激怒するのは当たり前

 ガイナックスの社長・巻智博容疑者が準強制わいせつ容疑で逮捕された報道について、株式会社カラーは5日、「当社作品に係る一部報道について」という声明を発表。逮捕を報じた一部メディアがガイナックスについて<『新世紀エヴァンゲリオン』を制作したことで知られる会社>と記したことに、強く抗議している。

 カラーはガイナックスの取締役だった庵野秀明氏が設立したアニメ制作会社。TVシリーズ『新世紀エヴァンゲリオン』を制作したのはガイナックスではあるものの、新劇場版シリーズからはカラーが制作し、版権もカラーが持つ形となっている。声明でも、<ガイナックスは、『新世紀エヴァンゲリオン』を含めた『エヴァンゲリオン』シリーズ作品について、何ら権利を有しておりません>と明言している。

 ガイナックス=『エヴァ』を制作した会社と表記することは、決定的な間違いというわけではないが、今回逮捕された巻容疑者は今年10月にガイナックスの社長に就任した人物で『エヴァ』や庵野氏とは何の関わりも持たない。来年6月にようやく新劇場版の完結編『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』の公開を予定しているだけに、作品への影響を考慮したのだろう。

 巻容疑者の逮捕を受けて、元子会社であるガイナ(現:木下グループ)、米子ガイナックスGAINAX京都GAINAX WESTも声明を出し、現在はガイナックスとの関わりはないことを改めて表明しているが、カラーの声明からはこれらとは比べ物にならない強い怒りを感じる。

当該被疑者は『新世紀エヴァンゲリオン』及び『エヴァンゲリオン』シリーズ作品と全く無関係であるにも関わらず、今般一部報道において、『新世紀エヴァンゲリオン』及び『エヴァンゲリオン』シリーズ作品に関する言及のあったことは誠に遺憾であり、強く抗議いたします。関係各位におかれましては、今後、同様の報道はお控えください。これ以降、同様の事象が継続した場合、当社は、当社及び当社作品に関するブランド価値の毀損、並びに当社作品の制作に従事するクリエイターらの名誉声望に対する侵害として、法的措置を含めた対応について検討させていただくことにつき、予めご案内申し上げます。

※カラー公式サイト「当社作品に係る一部報道について」より一部抜粋

 声優志望の10代女性に対し、芸能人としての訓練と称して上半身裸の撮影をするなどした巻容疑者はガイナックスの顔に泥を塗ったも同然。そして、まったくの無関係であるカラーからすれば、『エヴァ』を制作した会社社長逮捕などと報じられることは、とばっちりもいいところだろう。

 また、カラーの声明には<なお、2016年12月にご案内のとおり、当社は、株式会社ガイナックスに対して貸付金の返還を求めており、現在もなお係争中です>という一文も。

 庵野氏がガイナックスを離れた後、ガイナックスが庵野作品を商品化する際、カラーに対し使用料を払う契約を結んでいたが、ガイナックスに多額の債務が発生。貸付金を含めた約1億円の支払いが滞り、カラーが返済を求める訴訟を16年に起こしている。17年にカラーの訴えのとおり、ガイナックスに対し全額の支払いが命令される判決が下ったが、その後は目立った続報はなかった。

 まさか、まだ係争中だったとは。カラーが激怒するのも当然だ。

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