中国では動画1枚が100円以下……⁉ アニメーターの低賃金を解決する手段はAIの発展しかない?【中国ニュース】

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「腾讯新闻」より

 日本でもたびたび話題になるアニメーターの労働環境。その酷さが作品に影響しているのではないかと、中国でも論じられるようになってきています。

 先頃、中国メディア「腾讯新闻」では「不十分な生産能力と低賃金。日本アニメーション制作はどうなっているのか」という記事を配信し、日本のアニメーターの労働環境の酷さを論じています。

 この記事では人類学などで用いられる「内巻化(involution)」という概念を提示して、日本のアニメーション制作の抱える問題を提起します。内巻化とは、農業開発が一定程度の発展に達した後に停滞し、時代にあわせて変化していくことができないことを指します。

 記事では『日本アニメーション産業レポート』2018年版のデータをもとに、日本のテレビアニメの制作分数がほぼ横ばいであり、2017年には5年ぶりに減少していることをとりあげ、日本のテレビアニメは生産性の限界に達していて、それを打破することは困難だとします。

 その具体例として今年10月からの秋アニメのいくつか、たとえば『アズールレーン』が放送途中にもかかわらず総集編の放送を余儀なくされたことを指摘し、日本のアニメの生産力の不足が如実になっているとします。

 また、生産力不足を制作会社は下請けへの発注で補っているとしています。その問題は様々ですが、記事では日本から中国のアニメ下請け企業への発注した場合の相場にも触れています。日本においては動画一枚が12元(約200円)なのに対して、中国では6元で受けることができること。上海・無錫だけでも1032社のアニメ制作会社が存在し、その半数が日本の制作会社からの下請けで成り立っているとします。その大量の労働力と低価格競争で日本のアニメーターの給与は容認できないほどに下がっていると指摘しています。

 記事によれば、これに類似した現象は、18世紀に長江流域の綿花栽培でも起きていたそうです。当時、綿花の栽培が盛んになった長江流域では農家が家族全員で綿花栽培に参加するようになりました。これにより生産量は増加しましたが、生産量が増えても価格が右肩上がりというわけにはいきません。供給が増えれば価格も下落します。それに農地の面積に比例して生産量の限界はありますから、農家全体では儲かっても、一人あたりの利益が増えるわけではなく全体の生活がよくなるわけではなかったのです。これが前述の「内巻化(involution)」の具体例です。

 長江流域で停滞する経済の解決策は、綿花の利益を元手にした商業の発展や、農業以外の産業への労働力の移転でした。記事では、大勢の人の手が必要になる原画・動画・着色は綿花栽培に多くの人が携わっているのとイコールだとします。そして、それを打破するのはAI技術の発展などによる自動化だというのです。そして、それらが自動化できれば、より多くの人が演出やキャラクターデザインなどの仕事に集中することができるようになるのではないかとします。

 もはやアニメーターの低賃金労働は、金額のアップなどではなく技術の発展による、その職業の消滅しか解決策がないということなのでしょうか……。
(文=中国ニュース取材班)

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