NHKアニメ『ヴィンランド・サガ』ついにトルケルが陥落か！？昨日の敵は今日の友な第19話

• ツイート
• 

『ヴィンランド・サガ』公式Hpより

　アマゾンプライムにて世界配信が決定しているNHKアニメ『ヴィンランド・サガ』第19話がオンエアされた。

第19話　共闘
　トルケルの強烈な一撃によりひどい怪我を負ったトルフィン。勝つためには何をしたらいいか考えろと言われ、再び戦えるようにしようとするアシェラッドの手当てをうける。彼がトルフィンに提案したのは、2 人が生き延びるための共闘作戦だった。

　毎週引き込まれるように見てしまう『ヴィンランド・サガ』。単純にストーリーが良いのはもちろんだが、この時代を生きる彼らがそ、れぞれの思惑や決意・信念などに基づいて生きている姿に引き込まれてしまう。

　今回はトルフィン、トルケル、アシェラッド、クヌートそしてトールズという男たちのそれぞれの生きざまを見せつけられた回だった。

　トルケルによって吹っ飛ばされたトルフィンは意識を失い、眼が覚めたときには腕がありえない方向に曲がっていた。このままではなすすべなく殺されるしか道はなかったが、そこにアシェラッドが救護に駆けつける。

　宿敵に助けられることを拒むトルフィンだったが、アシェラッドはこの窮地を脱することが叶わないとトルフィンの悲願である仇討ちがなされないことを説く。そして一時共闘することを約束させる。

　トルフィンとの決闘に気を良くしたトルケルはアシェラッドのこの提案を受け入れこの彼がトルフィンの手当をしている間にトールズの話を語って聞かせることにする。

　トールズは並の戦士では入れないヨーム戦士団でさらに戦鬼とよばれるほどの力を持っていた。その首領の娘と結婚したのがトールズだったという。そう、つまりはトルフィンはヨームの首領の孫だったのだ。

　さらにそのヨームの首領はトルケルの兄だという、つまりトルケルはトルフィンの大叔父だというのだから驚きだ。血のつながりがここにはあるのだ。

　強いやつが大好きなトルケルは、トールズが一度戦地で死んだと思ったときには大泣きに泣いたらしいが、それはトールズのフェイクで戦いの日々から離れ別の地で新しい生活を始める決意を固めていたのだ。ちょうどその出ていく瞬間に出くわしたトルケルは引き留めようと剣を抜くが、人たちも浴びせることは出来ずにトールズは出ていってしまう。　

　その時の目が、戦士の目として強くトルケルの印象に残っていたのだった。それから15年。ずっとその正解を求めてきたが、トールズは死んでしまった。だからこそ、息子であるトルフィンに知られざるトールズの彼の生活を知りたいと思ったのだった。

　まさかの血縁関係。だからこそトルフィンも潜在的な強さを持っていたのかもしれない。あの戦闘力はこの血なのかと思うと妙に納得だ。ただ煽り耐性がなさすぎるのは誰に似たのか。アシェラッドに止められなかったら、あっという間に殺されに行っていたことだろう。

　アシェラッドはここでトルケルに殺されるわけにはいかぬとトルフィンを諫める。どどちらも手負いのいま、アシェラッドの生死はトルフィンが握っているといっても過言ではない。そのための勝ち筋をトルフィンに伝えるというアシェラッドの言葉に渋々耳を貸すトルフィンだが、その作戦とは……？

　トルフィンはトルケルに押し負けているような演技をし、少しずつ良い位置にいくように動く。そのすきを狙っていたのはアシェラッドのほうで、彼は自身の剣に雪をまぶしよく光るように施し、トルケルに導かれて都合のいい場所にきたところで彼の眼に向けて光が飛ぶように仕向けた。

　目つぶしにあったトルケルは一瞬バランスを崩したところに、トルフィン渾身のこぶしが入った。頭を使った作戦によってとうとうトルケルは膝をつく。頭に血が上っているトルフィンは、さらに攻撃として目を刺すなどしてとどめをさそうとするが、周りにいたトルケルの部下たちがだまってはいない。

　だが決闘の義を重んじるトルケルは、部下たちがトルフィンに手出しすることを許さない。負傷したトルケルが再度大暴れするかと思ったその時、とうとうクヌート王子がやってくる。

　前回覚醒を果たした王子。ブチ切れているトルケルにも臆することなく無駄な争をやめること、トルフィン・アシェラッドを開放しさらにトルケルにも自分のために働くように命じるのだった。

　さらには自分をスヴェン王との取引の切り札として使うのは無駄であること。自分が今からスヴェン王の座を引きずり下ろすことを全員に宣言する。王子の行動には迷いはなく、その目はかつてトールズがしていた目と同じ類のものであることを見て取ったトルケルは、彼のもとにつくことを承諾したのだった。かくして今の今まで戦ていたトルフィン・トルケル・アシェラッドは仲間としてこれから行動を共にすることに。

　王子の覚醒により物語が大きく動き出す。それにしても戦士はどうしてこうも、考え方がさっぱりしているのか。さっきまで殺し合いしてたのに、これから仲間という事実を受け入れるのが早すぎる。

　だがお互いが敵にするとどれだけやっかいかを知っているので、仲間になったらこれほど心強い人選もないだろう。果たしてクヌート王子のケンカの行く末はいかに。
（文=三澤凛）