薔薇族だった時代 ~素晴らしいモデルを見抜くカメラマンとしての鑑識眼 第47回

薔薇族だった時代 ~素晴らしいモデルを見抜くカメラマンとしての鑑識眼の画像1撮影:津田広樹(※)

 以前ご紹介した1983年発売の薔薇族正月号の巻頭カラーグラビアからの別カットだ。都内の区民屋外プールで、大胆にも営業中に撮影した自信作である。

 昭和の区民プールは、かなりフレンドリーな管理会社が区から任されて、バイトの大学生ライフガードを雇い営業していた。そのため、管理会社のヘッドの人と親しくなれば、容易にこの手の撮影は可能だった。令和の現代では、コンプライアンス問題で不可能だろう。良い時代だったのだ。

 大学生のモデルが、泳いだ後に濡れた前髪をかき上げている。競パンも濡れてシルエットがセクシーなカットで薔薇族読者から大好評だった。泳ぐ前に前髪が降りているのと前髪が濡れておでこが露出しているのとでは、セクシー度合いが違う。読者は、メリハリを楽しめたはずだ。

 令和の現代で言ったら、恐らくヤセマッチョとかスジキン男子かもしれない。しかし、セックスアピールは、バッチリな男子だと感じて野外プールでかなり時間をかけ入れ込んで撮影していたのを覚えている。いまこの時に戻れたら この大学生男子モデルには、BL的な作品のモデルになって欲しいと切望する。

 この時代の素人モデルとしては、ポーズや視線位置などの指示の飲み込みが極めて早く、頭も良くて、礼儀正しい男子だった。私は表面だけを撮影している訳ではないので、この男子モデルのように所作が素晴らしいと、おのずと完成度の高いカラーグラビア作品に仕上がってしまう。

 自画自賛だが、津田広樹スカウトのモデルは、いま思うに90%は成功モデルだった。そんな良き時代に伊藤文學編集長からのお墨付きをいただいて感性の赴くままにプライドを持ち撮影していた珠玉の作品を「津田広樹写真集・限定電子版」に仕上げてシリーズ化している。下記の津田・・・から始まるツイッターアカウントをクリックしてぜひとも見ていただきたい。ライフガードの競パンの紹介も必見だ。

【津田広樹プロフィール】
 いわゆる80年代アイドル全盛の時代にスチール撮影のみならず、その多才さを認められてグッズ等の企画発案にまでもマルチな才能を発揮したキャリアをもちながら、あらたなる新天地として当時の有力ゲイ雑誌であった薔薇族の出版会社に編集部員として転身。その後もさらにその非凡なる才能の昇華は衰えを知らず、グラビアや企画ページ等にも幅ひろく手腕をふるい、多くの絶賛を得るまでにおよぶ。そして1996年にはゲイ業界初の試みであった3D写真集付き映像ビデオ、ジャック・リードを発売し世に送り出した。
 さらにオリジナル競パン付きDVDの発売など革新を起こし続けるも、無断配信に苛まれ、昨年に全ての映像ソフトのレーベルを手離す。しかし長年ににわたり不変的な価値観を持ち続ける津田広樹の世界観は色褪せることのなく、その真価を現在も世に問い続けている。 

津田広樹(薔薇族だった時代筆者)
@Wi08XKZE10Vb5rx

※画像の処理は編集部によるもの

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