ドラマ「俺の話は長い」満と綾子の姉弟の小気味いいやり取りが魅力　でもだんだん綾子が不憫に思えてくる？

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　主演・生田斗真。物語は脚本を手掛ける金子茂樹の完全オリジナル。失業してニートになった男性の現実逃避に惑わされながらも、家族がともに絆を深めていく姿を描いていく。ひとつの話が「30分2本立て」で放送される。 期待の第3話がオンエアされた。

其の五　カボチャと喫茶店
房枝（原田美枝子）がいただき物のカボチャを店でハロウィンの特別メニューにすると聞いて激怒する満（生田斗真）。密かにネットでの転売をもくろんでいたのだ。
｢ハロウィンに手を染めることを軽く考えすぎてない？｣｢危険な薬物みたいに言うな｣｢後戻りできないという意味ではハロウィンもヘロインもおんなじだからね｣「この先ずっーっと『あぁこの店はハロウィンみたいなチャラついたイベントに便乗する店なんだって』思われるんだよ？」
仕方なくハロウィンと謳わずにカボチャを出すという房枝に「ワールドカップの時に日本代表のユニフォームきてるのに『一切便乗してません』って言って通用する？」と必死で訴える。
一方、春海（清原果耶）は、フラれたはずの陸(水沢林太郎)に恋の相談をうけるはめに。光司(安田顕)も陸になぜか連絡先の交換をお願いされて―。

　屁理屈は言葉が長くなる。このドラマを見て学んだことのひとつだ。満と綾子の姉弟はどちらも口がかなり達者。ふたりの舌戦がこのドラマの見所といっても過言ではない。

　今回の前半の話は満がそのよく回る舌で、自分のお小遣い欲しさに母の店でのハロウィンを回避しようとする場面が印象的だった。

　まるで危険薬物かのようにハロウィンに乗っかるやつらを侮蔑しながら、死んだ父親の信条まで持ち出し、まるで母が悪い事に手を染めてるような物言い。見ていて、相手のことを再起不能にするまで追い立てそうだと思ってしまった。そういうことしなさそうだけど。

　母は満があまりにもハロウィンを止めるので開催することに罪悪感を抱いたものの、常連さんたちが満の思惑に気付いてことなきを得た。母が子供を信じる気持ちを利用しているようにも、満が母に甘えているようにも見えた。

　一方、姉の旦那の光司は、なぜか娘が好きだった男子とライン交換をしてしまい、返事に困る日々を送っていた。それを満に相談したことによりなぜかラインの内容が写真付きの大喜利バトルのようになってきてしまい、さらに彼を悩ませる。この少年、春海にも恋愛相談をしたりと親子それぞれを悩ませているがいったい何を考えているのだろうか？

其の六
酢豚と墓参り
満と房枝はいつもの月命日で父の墓参りへ行く。たまたまその日に親子３人で買い物に出た秋葉家３人は、道中で偶然、房枝に請求する墓参りのためのガソリン代とお花代を誤魔化している満の現場に遭遇する。その夜、満の不正を追求する綾子（小池栄子）。
しかし満は「姉ちゃんの何が最低か教えてやろうか？ガソリンスタンドと花屋まで尾行してきたクセに墓参りには尾行して来なかったことだよ」と開き直る。
墓参りに来なかった事を責められた綾子は、父が入院中、満がたった１回しか見舞いに行かなかった話を持ち出して反撃、息子へのキツい態度とは裏腹にずっと満を心配していたという父の話を聞かされた満は･･･。

　父親の月命日。毎月墓参りに出向く母のために車を出す満。いつもならば、ガソリン代と備えるお花の値段を多めに請求して差額を自分の懐に入れていた。それを綾子たち親子に一部始終のぞかれたのでバレてしまう。

　綾子と満の舌戦がこのドラマの見どころだ。だが綾子のお節介で高圧的な物言いは見ていて視聴者すらも苛つかせてしまう。もちろん言われている満はさらにイラついていることだろう。そのイラダチから鋭いカウンターを返しているのが小気味いい。

　綾子は、自分たちが居候している間に満を自立させると誓ったから強めに出ている部分もあるのだろう。しかし、裏で共通の敵として悪口を言われてしまったりするのが辛いところ。好感度が普段高い小池栄子が演じているから、まだ愛すべきキャラで留まっているのだとしても、家族の誰に対しても少し過剰な干渉をしすぎているように感じてしまう。

　どこかのタイミングで綾子に転機が訪れることを願っている。
（文＝三澤凛）