ラーメンが一杯2,000円だって? 長野県からやってきた極上の高級ラーメンコースを食べてみた

 実に南北に長く延びる伊那谷には美味い店が多い。市街地は多くの飲食店が軒を連ねているし、谷のあちこちに美味い店が点在している。胃袋はひとつしかないので限界があるし、車でなければいけないようなタイプの人気店にはまだ未踏のところも多いのだ。

 この二店舗も当然、駅から離れているにも関わらずあちこちからお客が詰めかけるという店である。

 そんな店が今回のために、伊那谷で収穫された野菜。そして、鹿や猪というジビエを使
ったラーメンを考案したのだ。なお、醤油だけは伊那産ではなく長野県産である。

 と、話しているうちに運ばれてきたのは、野菜の載ったプレート。パッと見、こんな上品な盛り付けでお腹がいっぱいになるかと疑った。しかし、野菜を口に運ぶとそれが浅はかな疑念だと思った。濃い、野菜の味がひたすらに濃いのである。添えられているペーストやドレッシングも、みんな味が濃厚。周囲を見るとお客はみんな舐めるようにして食べている。

ラーメンが一杯2,000円だって? 長野県からやってきた極上の高級ラーメンコースを食べてみたの画像3

 これは、多幸感によって満腹をもたらす味である。そこに運ばれて来るラーメン。それもまた麺に伊那産のそば粉を混ぜた逸品。チャーシュも鹿ロースとか鹿アバラとか。一口ごとの濃厚さが幸せをもたらす。こんなのを食べさせて2,000円では、あまりにも安すぎる。

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 その多幸感は本物で、この取材の後にあれこれと雑用で出かけようと思ったのだが、あまりの満腹感に予定を変えて事務所に戻って休憩したほどである。

 わずか2,000円で幸せな気分にしてくれるハイクオリティ。でも、ただそんな料理を100食振る舞うだけが、この催しの目的ではない。

 真の目的は伊那谷という地域を広めることにある。

「今は観光客よりも交流人口を増やしたいと思っています。そのために価値のあるものを提供したいと思ったんです」

 とは、前述の唐木さんの言葉。

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 実のところ、伊那谷で観光名所といえば、山や高遠城など限られる。しかし、いわゆる観光という視点を変えればどうか。味のある店は多いし、キャラ立ちした人も多い独特の地域である。特異なのは山間部にありながら、他所からやってきた人にやたらと歓迎ムードなこと。

 地域の歴史性もあってか、外から来る人は「なにか一芸を持ってやってくるに違いない」という思考が受け継がれているのである。だから、一度しか来ない観光客よりも「週末は暇だから伊那で美味いものでも食べるか」という人のほうが望まれているのだ。

 そんな地域ゆえに、移住している人も多い。

 今回のイベントでもクラフトビールが販売されていたが、こちらも移住した人が始めたもの。

 移住しなくても、都会からバスで数時間で美味いものにありつける近さが魅力の伊那谷。こうした機会を増やして、もっと魅力を教えて欲しいものだ。また行こう。

……と、書きつつ週末に出かけようとしたら台風のおかげで電車もバスも運休である。早く復活してくれるのを待っている。

(文=昼間 たかし)

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