ドラマ『まだ結婚できない男』第3話――かわいい子と噂になった時のまんざらでもない気持ち

■励ます言葉を放った桑野の真意とは?

 マンションで会った桑野に、週刊誌に載ってしまったことを詫びる早紀だったが、勢いで芝居の稽古をしてほしいと頼み込んでくる。何かを感じて引き受けた桑野は、閉店後の有希江の店に行って練習を始める。そこへやってきたのが、英治と桜子、そして相談を受けた吉山だった。騒がしくなったため、場所を変えようとした桑野だったが、早紀は「他の人にも聞いてもらいたい」と言って、その場で稽古することになる。

 初めは順調に練習していた二人だったが、いつしか桑野が演技論を語って早紀を泣かせてしまう。

「もう辞めたほうがいいのかも」。そう言う早紀に桑野は言い返す。

「どんな仕事にだって必ず辞めたいという時が来る。そこで踏みとどまれたら、本当の第一歩だ」
 顧客とのトラブルで悩んでいた英治も、演技に行き詰まっていた早紀も、桑野のこの言葉を聞いて改めて気持ちを前に向ける。

 店を出て行った桑野を追いかけ、フォローしようとする吉山。彼女は桑野に仕事を辞めたくなった時のことを尋ねる。しかし、桑野は「辞めたいと思ったことなどない。あれは若者を焚きつけるために言っただけ」とうそぶくのだ。

 このシーン、解釈はいくつもできると思う。桑野は本当に仕事を辞めたいと思ったことはないのだろうか? 私はそうは思わない。店で言ったひと言は、多分桑野の本心だ。そして、仕事を辞めたいと思ったことだってたくさんあることだろう。でも、桑野は他人の前、特に吉山の前では弱みを見せたくなかったのだ。強がってみせたのも彼一流のジョーク、しかも下手なジョークだったのだろうと思う。

 今回は深川麻衣がフューチャーされた話だったが、彼女の存在がこのドラマのいいスパイスになっている。「アイドルを経て本格的な女優を目指している」というのも、元乃木坂46メンバーである彼女自身の境遇とリンクするものだし、美しさと庶民性が同居したようなルックスも実に魅力的だ。

 そして、彼女に負けず達者なのはタツオの演技だ。早紀に話しかけられた時の小首をかしげる仕草や、桑野と見つめ合う時のなんとも言えない眼差し。首輪がキツくて嫌がる様子など、一体どうやって演技させているのかと不思議に思うほど、面白くてかわいらしい。頑固な桑野ですらメロメロにしてしまう彼の存在にも注目だ。

 これまで、いろんなキャラクターが登場してきたが、総じて言えるのは、みんなちょっとずつ生きるのが下手だなということ。桑野の妙なこだわりは言わずもがな、彼の言葉を真剣に受け止めてしまう吉山や、人との距離のとり方に悩む早紀、桑野の悪いところを探すことでしか存在を主張できないブロガー・やっくんだって、何か生きづらさを抱えている。そんなところに共感するのも、また楽しみ方のひとつではないかと思うのだ。

(文=プレヤード)

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