アニメ『日本沈没 2020』……今度は日本は沈没するんだよね? 樋口真嗣監督作の二の舞になるな!

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『日本沈没2020』

 小松左京原作の傑作『日本沈没』が、Netflixオリジナルアニメ『日本沈没 2020』として新たに制作される。監督には『夜は短し歩けよ乙女』や『夜明け告げるルーのうた』などを手掛けた湯浅政明氏がクレジットされており、期待する声もある。

 しかし気になるのは、今回の作品の方針だ。リリースなどでは2020年の東京オリンピック直後の日本を舞台に、これまでの『日本沈没』の映像作品では描かれることの少なかった「ごく普通の家族の物語」を通じて「いま描かれるべき日本沈没」が描かれるという。

 なんともいきなりのスケールダウン感。日本が沈没する状況で家族愛とかなんとかを繰り広げられても興ざめしそうなのだが……。

 映画としては過去二回(ほかテレビシリーズも)映像化された『日本沈没』。1973年の実写映画は迫力もストーリーも見事だった。

 日本の沈没が避けられない中で新たな道を探るために苦闘する人々。そして「なにもせんほうがええ」と覚悟を決める人。パニックで皇居に押し寄せる避難民に丹波哲郎が演じる総理大臣が「門を開けてください!」と電話で叫ぶシーンとか、見どころ満載の作品だった。

 これに対して、過去の作品の評価を台無しにしたのが、2006年に制作された樋口真嗣監督版である。

 この映画、いろいろと酷いシーンだらけなのだがもっとも酷いのは、日本が沈没しないことである。観客を置いてけぼりにしたまま「N2爆薬」とかなんとか意味不明な超兵器と、草薙剛演じる主人公の自己犠牲で日本が沈没せずに救われるのだ。「N2爆薬」というのは、核兵器という言葉が使えなかったので代用ということだが、それでもおかしい。加えて、安っぽさに満ちた下町の人情シーンなど、すべてが悲惨な作品だった。

 ゆえに家族愛とかを見せそうな、今回のアニメ化には不安しかない。

 しかし、不毛な家族愛を描こうとも作品が評価されるポイントはある。それはちゃんと日本が沈没することだ。パニックの中でエゴむき出しにした人々が次々と沈んでいく。家族愛もなにもかも、自然の猛威の中では諸行無常……それくらいに迫力ある沈没を描いてくれると期待している。
(文=大居 候)

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