『アズールレーン』と『艦これ』。どちらの息の根が長いのか……　二作の明確な”違い”とは

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　いよいよ始まった、TVアニメ『アズールレーン』。放送開始以来、今のところは好調な滑り出しをみせている。

　ブームを通じて次第に明らかになっているのは、先行する艦船擬人化ゲームであった『艦隊これくしょん -艦これ-』との明確な違いである。

『アズールレーン』と『艦これ』の違いを簡単に語るなら、完全なるフィクションなのか、現実とリンクしているかである。先行する『艦これ』は当初はあくまでゲームであることを崩さなかった。だが、ブームの波に乗る形でそれは次第に曖昧になっていった。「聖地巡礼」を通じて実在した軍艦・艦艇と架空のキャラクターは、つながっているような意識が共有されるようになった。加えて、現在の海上自衛隊が所有している護衛艦とのつながりも隠さなくなり、広報に利用されている。

　こうした利用の仕方には賛否があるだろうが、架空のキャラクターである嫁艦が実在しているかのような錯覚をできることは、むしろ有り難いとも思う。

　だがこの意識は日本人にしかできないものである。すでに戦後70年以上を過ぎたが、いまだに前の敗戦の記憶は濃厚だ。もはや、リアルタイムに戦争を体験した世代も減った。かつて小学校では「おじいちゃん、おばあちゃんに戦争の時のことを聞いてみましょう」みたいな宿題が出されることもあった。それもいまはない。

　それでも、政治的立場によらず敗戦の痛い記憶は連綿と受け継がれている。その独特の哀愁が『艦これ』に登場する艦娘たちに愛情を抱かせる理由だ。そう、『艦これ』はあの痛い敗戦の屈辱が生んだ作品といえる。

　そうした要素が『アズールレーン』にはない。画面の中で動くキャラクターはあくまで架空の存在。後ろに背負っているものがなく、あっけらかんとしている。

　当サイトでも様々な論者が両作品を論じているが、あくまで別世界のものとして楽しめる『アズールレーン』は強い。強いのだけれど、やはり敗戦の屈辱と共に楽しんでしまう『艦これ』も手放せないのだ。果たして、これから数年後にまだ楽しんでいるのはどちらのゲームなのか。
（文＝大居 候）