ドラマ『同期のサクラ』周りの事情や状況を鑑みず、常に正論だけで突き進むサクラに違和感 第2話

ドラマ「同期のサクラ」公式サイト

 眠り続けるサクラ(高畑充希)の病室。サクラの意識が戻ると信じて見舞いに訪れた菊夫(竜星涼)は、「自分にしか出来ないことをやるよ」と話しかけ、社会人2年目のある出来事に思いを馳せていた……。

2010年5月―。サクラは花村建設人事部で社会人2年目を迎えていた。その忖度できない性格は相変わらず。修羅場中の隣人カップルに空気を読まないクレームを入れたり、社内エレベーターで大声で電話する管理職風の上司に堂々と注意したり……。そして、「故郷、美咲島に橋を架ける仕事に関わる」というブレない夢も持ち続けていた。

 

 その日、人事部では「経費削減のために無駄な残業時間を減らせ」という上からのお達しを、部長の黒川(椎名桔平)がすみれ(相武紗季)とサクラに丸投げする。「何故、残業してはいけないのか?」という疑問を黒川にぶつけるサクラだが「社員の健康と環境を守るため」という答えに納得すると早速各部署にメールを打ち始める。面倒な仕事は何でも押し付ける黒川と、意見をハッキリ言うあまりトラブルの種になりかねないサクラに挟まれストレスを感じるすみれだが、サクラと一緒に各部署に残業削減をお願いして回ることに……。

 1話1年ということで、今回は入社して2年目を迎えた桜たちのエピソード。2年目ともなるとある程度の仕事に慣れはじめてくるため、新人という肩書も外れ、様々な仕事をちょっとずつ任されていくようになる頃だ。

 桜以外は希望の部署に配属され、それぞれの部署の仕事を全うしていた。しかしその中で、営業部に配属された菊夫は、パワハラ上司の無茶振りの連発にオーバーワーク気味になってしまう。

 そんな折に会社の意向として残業時間縮小が決まる。桜の所属する人事部は、一斉メールに加えて口頭でも各部署にその旨を伝えに出向く。もちろん菊夫の部署にも出向くが、ウワサの桑原という上司はこちらの話を聞かず「営業が残業を減らすなど無理だ」「こっちの仕事を理解しないで偉そうなことをいうな」と取り付く島もない。

 しかし、桜もはまったく動じず、上司に言われたこと、会社の意向を伝えているのになぜ理解をしてもらえないのか、その場合のリスクを負う覚悟はあるのかと、逆に桑原を責め立てる。2年目の社員に部長クラスの人間がこんなたてつかれたら、そりゃあイラっとくるだろう。桑原は激高し、桜の話に一切耳を貸さなくなった。

 大きな会社はそれぞれの部署がある意味独自のルールを持っていることが多い。会社という組織の中でもその部署だけにしか通用しないルールが黙認されている。この花村建設の営業部も同様。部長の桑原の外面がよく、下に厳しいという体制は問題視される向きもありながらも放置されていた。

 クライアントにいい顔をするため、現場に無茶な要求を通すように言い渡された菊夫。現場の苦労もわかるが、上司には口答えができない。板挟みになり、時間外にも当たりまえに呼び出され、無茶な要望ばかり押し付けられる環境にまいった菊夫は倒れてしまう。

 やりたいことはやらなければいい、おかしいと思ったら声を上げればいい。夢を叶えるためにはまっすぐにその道を進めばいい。そう思っている桜には、無理をする菊夫も無理をさせる桑原のこともよくわからない。

 1話からずっと思っているが、この桜の「私には夢があります!」と自分の夢を高らかに叫び、周りの事情や状況を鑑みることをせず、常に正論だけで突き進むのには少し違和感がある。1話では百合が、2話では上司のすみれがいさめたが、この姿勢が美談として描かれるのは若干受け入れがたい。周りが桜の言動のフォローを強いられる状況に陥り、桜だけがすっきりしても何も意味がないようにも思うのだ。

 結局、菊夫は倒れたことで上司に言いたいことを言えるようになった。そして10年後、別の仕事でやりたいことができるようになっていた。それだけではいけないような気もするが、話はきれいにまとまったので見ている方がモヤモヤしていても仕方がないのだろう……。

 桜の言動以外は興味深いドラマだと思うので、はやく彼女に慣れたい。それがこのドラマを楽しむ近道だろう。
(文=三澤凛)

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