アニメ『BEASTARS ビースターズ』肉食動物が草食動物に恋をする…それは恋心なのか捕食欲なのか――第１話

• ツイート
• 

　擬人化された肉食獣と草食獣が生活・共存をする世界を舞台に、全寮制の学校「チェリートン学園」へ通う動物たちの群像劇『BEASTARS ビースターズ』の第1話がオンエアされた。

【第1話】

　名門高校チェリートン学園で、アルパカの生徒が食い殺される『食殺事件』が発生した。

　被害者の所属する演劇部では、肉食獣と草食獣が険悪な雰囲気になる。

　そんななか変わり者のハイイロオオカミ・レゴシは部活の集まりにも顔を出さずに、なんだかコソコソしており…

　擬人化されても肉食獣は肉食獣。草食動物は草食動物という食物連鎖の理を残した設定や、それぞれの動物のフォルムはそのままで二足歩行で人間のような立ち居振る舞いをする。『BEASTARS ビースターズ』は一周回って新しい形の擬人化作品といえよう。
　
　冒頭から中々にショッキングなシーンが描かれる。草食動物の生徒が肉食動物に追われ襲われ命を落とすのだ。共存する学校という舞台の中でそんな事件が起こるのは恐ろしい以外の何物でもない。
　
　食い殺された草食動物・テムは演劇部に所属していた。学内で殺人が起こっても学校が休みになったりせず「険悪な雰囲気」ですむということは、こういった事件は過去何度か起こっているということを示しているのだろうか。

　殺人者かもしれない相手が学内にいるかもしれないと思うと、怖くて通えなくなるような気もするが、肉食獣と草食動物が共存するとそんなこともあるのだと諦めなければいけないのかもしれない。
　
　テムの所属していた演劇部は部員も多く競争率も高いらしく、テムが演じるはずだった役について代役をあてる件について、小さなもめごとが起こる。演劇部内のカリスマ、アカシカのルイは主人公であり、誰もが認める存在のようだ。彼の鶴の一声で役者と裏方が入れ替わることもしばしばあり、部員が死んだことも含め部内はごたごたとした雰囲気に包まれる。

　目立たずに生きることを心掛けているハイイロオオカミのレゴシは、テムが死んだ後から草食動物で演劇部のエルスをじっと見つめ続ける。事件の直後だったこともあり、エルスはレゴシに対して警戒心を持ち、夜道で突然話しかけられたことに恐怖を覚え、強烈な批判を浴びせてしまう。しかし、レゴシはエルスに亡くなったテムのラブレターを渡すためにそのチャンスをうかがっていたのだ。　

　肉食獣とは思えないほどに穏やかな性格のレゴシ。しかし彼は、衝動を覚える。草食動物を狩りたいという衝動だ。

　それは、この物語のヒロイン・ハルと出会った瞬間だった。あと腐れなく様々な男子生徒と関係を持っているが故に女子から嫌われまくっているハルは、この日も強烈ないじめにあっていた。気にしない、と強い態度で挑んでいるものの心細い気持ちになるものだ。

　かぶせられた水のせいでびしょぬれになった制服を乾かしていたら遅くなってしまったハルが夜道で出会ったレゴシ。レゴシはハルに合う直前に何か気体を吸い込んだ。その気体がレゴシの理性を奪ったように見えた。かくして草食動物のハルは、レゴシにロックオンされたのだった。

　まだまだどういった展開になるのかがわからないが、恋の話の部分とミステリ的な要素も含んだ作品となりそうで今後の展開が楽しみだ。

　肉食獣と草食動物は共存することができるのか。捕食欲なのか恋心なのかなどなど、本能に対した疑問を投げかける興味深いテーマも隠されていそうだ。一体どんな答えが提示されるのかを楽しみに見守っていきたい。
（文=三澤凛）