一人行動どこまで平気? 結婚できない男が見る、ドラマ『まだ結婚できない男』第1話

2019.10.09

カンテレ『まだ結婚できない男』番組公式サイトより

 一人でいることは恥ずかしい。

 私は、映画だろうが焼き肉だろうが一人で行くのは平気だし、むしろお酒などは一人で飲んでいる方がしみじみと味わい深いと感じるタイプだ。それでもまあ、一人でいることは恥ずかしいんだろうなと思う。

 初めに、私の今の状況を書いておきたい。ドラマのレビュー記事で、書き手の存在を意識させるのはどうかとも思うのだが、この『まだ結婚できない男』(フジテレビ系)というドラマについては、自分の立ち位置をはっきりさせておかないと、誤解をまねきかねないからだ。

 私はオタクの男、年齢は桑野よりも少し下だ。独身。離婚歴もない。結婚を考えたことがないわけではないが、そこまでうまく進んだことはなく、そのうち一人の楽しさにどっぷり浸かってしまったといったところだ。

 だから、すでに結婚しているとか、いずれ結婚できるだろうと思っている人が、このドラマを見て感じることとは、幾分見方が違うのではないかと思う。ただ、“結婚できない男”の一人として、このドラマが伝えたいことは何なのか、それを考えてみたいと思っている。

■13年で変わったこと、変わらないこと

 物語は、前作『結婚できない男』(フジテレビ系)の13年後という設定だ。

 主人公・桑野信介(阿部寛)は、53歳。建築士としての実績は申し分なく、世間でも高く評価されていた。前作では、桑野と部下の英治(塚本高史)だけだった事務所も、英治が共同代表者となり、アシスタントの社員も増えた。

 桑野の妹・中川圭子(三浦理恵子)一家も健在だ。母・育代(草笛光子)、桑野の友人で、圭子の夫・良雄(尾美としのり)、娘のゆみ(平祐奈)が暮らす家には、桑野も時々遊びに行っているようだ。

 そんな中、「やっくんのブログ」というサイトに桑野を中傷するような書き込みがされていた。それを気に病んだ桑野は、ある弁護士事務所を訪ねる。そこにいたのは、40代独身の女性弁護士・吉山まどか(吉田羊)だった。やっくんの正体を暴くために裁判をお願いするのだが、相変わらず“桑野節”は全開だ。吉山が独身だと知ると鼻で笑い、「弁護士は敵の多い職業」と言い切る。このあたりは、前作での早坂先生(夏川結衣)とのやり取りが思い出され、懐かしくなる。

 ある日、桑野が自宅マンションに帰ると、隣の部屋に若い女性(深川麻衣)が引っ越してきていた。サングラスをかけ、大きなマスクをつけた、いかにも怪しそうな彼女も、何か秘密を抱えている様子だ。彼女に「犬飼ってますか?」と聞く桑野。これは、前作での隣人みちる(国仲涼子)のことを踏まえてのことだろう。 そして、ペットショップで見かけたパグも、みちるの飼っていたKENを思い出させる。

 裁判を依頼するにあたって、桑野は吉山が弁護を担当している法廷を傍聴に行く。相変わらず細かいところを気にするところは彼らしい。

そこで行われていたのは、離婚裁判だった。その被告であり、夫から離婚を迫られている女性、それが岡野有希江(稲森いずみ)だった。傍聴の帰り、ふとしたことから桑野は彼女と言葉を交わし、事務所近くのカフェで雇われ店長をやっていることを知る。

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