アニメ制作会社、2018年の倒産は過去最高の11件! 帝国データバンクの「アニメ制作業界動向2018」雑感

■アニメーターの収入は安いまま!? 小規模「専門スタジオ」が苦戦中! 

 一方、下請けを専らとする「専門スタジオ」は、収入高が増加した企業が前期35.6%→33.1%、最終損益が「増益」だった企業が前期50.0%→43.4%といった数字が並んでいます。

 収入高が減収となった企業は20%に過ぎません。なのに、最終損益が減益というケースが増えています。「専門スタジオでもアニメーターの正社員化や育成が進むなか、投資が先行する一方で収益化に至らず、減益に転じたケースがみられた」と解析しています。

 ちなみに今回のレポートでは約250社が調査対象となっているようですが、「6~20 人以下」(87 社、構成比 34.0%)。次いで「5 人以下」の 83 社(同 32.4%)となっています。

 ちなみに、「2000 年以降に設立された企業が全体の約 6 割を占めている」そうです。アニメ業界には新しくて小さいスタジオが氾濫しているわけです。

 これは想像なのですが、企業として規模が小さく、新しい企業が仕事を請け負うために「うちはムリなスケジュールでも頑張るし、制作費も勉強しますよ」と、売り込んでいる可能性はないでしょうか。だからこそ、収入高が増益した専門スタジオが33.1%あるのにも関わらず、最終損益が減益したという企業が50%を超えてしまっているのではないでしょうか。

 アニメーターさんの収入や単価が上昇傾向にあるというエピソードを、寡聞にして耳にしたことがありません。業界内で改善が進んでいるといいのですが……。

■倒産・休廃業・解散は過去最高の11件! 業界で広がる格差

 近年は制作会社の大規模化が進んでおり、「51~100 人以下」(23 社、同 9.0%)、「100 人以上」(15 社、同 5.9%)が、18年より数社ずつ増加しているとレポートは指摘。

 しかし一方で、 最終的に「赤字」だった企業は30.4%にのぼり、3年ぶりに増加。さらに、2018年には過去最高の11社が倒産・休廃業・解散を迎えています。企業としての規模を増やす企業が目立ち始めているのに、倒産が増加しているわけです。

 一発ヒット作があれば、簡単に黒・赤がひっくり返る業界ではありますが、製作委員会に制作会社が名を連ねらたり、海外ネット配信に販路を揉めたり、TV放送で人気を博した作品の劇場進出を進めるなど、いろんな手を打ってニュースになったり話題になっていたりするのは、一部の限定された大手制作会社ばかり。

 業界内で、勝ち負けの格差が広がりつつあるのかもしれません。どの業界でも景気が悪いと、勝ち負けが如実になるそうですが、アニメ業界でも同様の傾向を示しているのでしょう。

 今後、各企業がどんな手を打ち、そしてどんな作品を見せてくれるのか。そして、どういった企業が生き残るのか。

 近いうちに発表されるであろう、日本動画協会の「アニメ産業レポート」もあわせて楽しみにしながら、この稿を締めたいと思います。
(文・馬場ゆうすけ)

アニメ制作会社、2018年の倒産は過去最高の11件! 帝国データバンクの「アニメ制作業界動向2018」雑感のページです。おたぽるは、アニメ話題・騒動の最新ニュースをファンにいち早くお届けします。オタクに“なるほど”面白いおたぽる!

- -

人気記事ランキング

XLサイズ……
XLサイズって想像できないだけど!!