ヘタの研究 vol.11

コスプレ雑誌『COSPLAY MODE』はなぜ二次コスプレだけを扱い、一次、三次コスプレを扱わないのか?

千都さん二次コスプレ『けものフレンズ』サーバル

「物事が“ヘタ”なとき、そこにはパターンや規則があるのではないか? そのパターンを知ればウマくなる手助けになるのではないか?」

 この仮説のもと、当連載「ヘタの研究」ではさまざまな物事の「ウマい、ヘタとは何なのか?」をその道の専門家に伺っている。今回のヘタの研究のテーマはコスプレ。前々回より隔月雑誌『COSPLAY MODE』(シムサム・メディア)の編集人大門太郎氏と、同誌編集で、かつコスプレイヤー(以下、レイヤー)としても活躍する千都ちひろ氏に話を伺っている。今回は「レイヤーの悩み」「二次以外の一次、三次コスプレ」「中高年レイヤー」など様々なテーマにコスプレの今を探る。

【これまでのインタビューはこちらから】
コスプレの評価基準は「かわいい」「似てる」だけではない――雑誌『COSPLAY MODE』に聞くうまいコスプレとは?

コスプレにおける「タブー」とは何か?『COSPLAY MODE』編集部に聞く

 

■「あのキャラといえばあのレイヤー」なのか「あれこれできるレイヤーがすごい」のか

――素朴な疑問ですが、常に同じキャラクターになるレイヤーがすごいと思われるのか、様々なキャラクターができる人がすごいと思われるのか、どちらなんでしょうか。

千都ちひろ氏(以下、千都) どちらもあるんですけれども、長いジャンルで同じキャラクターをやっているレイヤーを見ると、愛が深いな、流されないな、と思いますね。これは二次創作でも同じだと思います。

――ほんとですね。そのジャンルの大きなブームが終わって数年後「あのとき見た同人作家さん、まだこのジャンルにいてしかも超楽しそうに活動続けてる」という姿を見ると、すごくいいもの見させてもらったな、って思います。

 回目で千都さんより「リザルトよりプロセス」の話がありましたが、ブームが去って売り上げや反響などのリザルトが落ちても好きだから続けている、という人を見るとプロセスの美しさ、尊さを感じますね。

千都 1つのジャンルに入ること自体が「正しい」ことではないですが、長くいる人を見ると愛情が深いな、昔からやっててすごいなというのはありますよね。

 一方で、かつて175(イナゴ)※という言葉がありましたよね。 でも、今はあまり175とは言わなくなりましたね。流行りに乗せることが自分のプロデュースの一環だったりするんです。

※175:流行りのジャンルをころころ変える人を田畑をあっちこっちに移動するイナゴにたとえた言葉。

――ずっと好きでいるのも、175でいるのも自分の気持ちに正直でいるのが一番ですね。

 

■コスプレイヤーの悩みの筆頭は「SNS」

――コスプレイヤーの悩みというものはどういったものがありますか?

大門太郎氏(以下、大門) やはりSNS上のトラブルですね。コスプレイヤーにとってSNS はなくてはならないものですから。

千都 Cureやコスプレイヤーズアーカイブというコスプレ専門のSNSがあり、そこに投稿するのが以前は一般的でしたが、今は主な発表の場はTwitterになっていますね。

 ただTwitter になると、フォロワー数だったり反応数だったりがダイレクトに分かってしまいますよね。そういった数やコミュニティの人間関係で悩まれている方のお話をよく耳にします。

――オタク活動になくてはならないSNSですが、依存しがちで悩んでいる人は多いですよね。さらにレイヤーは写真に対する厳しい反応もあるでしょうし。

千都 そうですね。ほんとにブスやらデブやら、ダイレクトな誹謗中傷のコメントをされることもあります。コスプレイヤーがネットで生きていくためには強い心を持つしかないです。


■10年前にはなかったコスプレの新評価機軸、加工

――コスプレの評価項目として「ヘアメイク」「衣装」「当日の(そのキャラっぽい)立ち居振る舞い」があると思いますが、これ以外にも何かあるでしょうか?

大門 やはり今のコスプレは、イベント会場などの「その場で生で見て」というよりは Twitter等のSNS にアップされた写真での評価が中心になるので、写真の「レタッチ、加工」の技術も大切になってきています。撮影時にカメラマンとの協力なども求められます。

 ものすごく加工を入れている人もいて、「加工厨です」とプロフィールに書いているレイヤーもいますよ。

千都 加工をしてからネットに写真をアップするので、コミケなどのイベント会場でカメラマンが撮った写真をそのままのアップしないでください、と注意喚起しているレイヤーも多いですね。というか、今はほぼそれが暗黙の了解になりつつあります。

 以前は撮った写真をカメラマンがそのままアップしてしまうことも多かったのですが、プライバシーやマナーの問題などが高まり「人の写真を勝手にあげてはいけない」とになりつつありますね。

――加工をしてはいけない、自然第一主義みたいな感じはないのでしょうか。

千都 加工もコスプレのうちと考えるレイヤーも多いです。ただ、例えば業者から有名レイヤーをコンパニオンとしてゲームショーなどのイベントで雇いたいという際に、普段から加工をがっつり入れていてしまうと、写真と実物が違いすぎて雇ってもらえないという問題も出てきますが。

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