ヘタの研究 vol.10

コスプレにおける「タブー」とは何か?『COSPLAY MODE』編集部に聞く

千都さん自作衣装『けものフレンズ』サーバル

■オタクがイベント前日につぶやき、周囲を戦慄させる「まだ金」とは?

――コスプレはお金のかかる趣味に見えます。しかし学生さんなど、金銭的に余裕のない若い世代の人が多い趣味でもありますよね。皆さんどうしてるんでしょうか。

千都 ものの考え方が、まず今月2万円使えるからその予算内でコスプレをする、のではなく、コスプレファーストで考え、残りの食費などを節約するという考え方なんじゃないかなと思いますね。

――「オタクファースト」も、多くのオタクに共通する考えですよね。

大門 ただ、見ていて計画性のないレイヤーが多いなと思うこともあります(笑)。あらかじめ合わせの日は決まっているのに、慌てて直前に必要なものを急ぎ便で取り寄せてしまうから何百円高くなってしまうとか、直前になって足りないものがあると気付いて慌てて電車で出て行ったりなどをしている人は多いです。

千都 私がまさにそのタイプです(笑)。レイヤーはよく「衣装修羅場」という言葉を使います。 準備が終わらないレイヤーが(当日の)夜中に作業していることを指します。私自身寝ないで衣装を作りイベントに行ったことが何度もあります。

 同人誌を書く方でもこういったつぶやきをしている人はいますよね。「まだ白紙」とか。

――間に合わないつぶやきが大喜利状態になりだすとイベントが近いなって思いますね。

千都 そのレイヤー版のつぶやきもあるんです。「まだ布」と。衣装になっていないんです。もっとひどい人だと「まだ金」です。買ってすらいない(笑)。そういう人と合わせの予定があるとハラハラしますよ。間に合うの?って。

 でも私の周りのレイヤーさんは「まだ金」であろうと、当日に絶対間に合わせてくるんですよ。火事場のクソ力ですね。

 ただ、事前に切羽詰まっているレイヤーは多いので、『COSPLAY MODE』でも、衣装製作の時短テク企画は人気がありますね。時間が本当になければミシンを使わずに布用の両面テープやグルーガン(接着剤。銃のような形状)を使って衣装を作ったりするんですよ。

『けものフレンズ』サーバル耳作りの過程

■レイヤー界における「タブー」とは

――同人誌を作るオタクの場合、個人で作った同人誌が間に合わなければイベント当日、空の机に「新刊落としましたごめんなさい」とペラ一枚の紙を置けばいいですけれども、コスプレの「合わせ」で間に合わないのはまずいですよね。

大門 この組み合わせでなんであのキャラがいないんだろう? という歯抜け感が出てしまいますからね。

千都 あと、スタジオをみんなで借りて撮影するというときに参加できなければとそれぞれの負担が増してしまいます。「合わせ」で間に合わないというのは基本タブーです。

――それ以外にコスプレにおいてタブーはありますか?

千都 キャラクターのイメージを損なうような過度な露出もよく炎上しますね。これは女性レイヤーに限らず、男性レイヤーでもです。別に公式カップリングでもないのに「絡み」ポーズをしたりとか。

――いいねやフォロワー欲しさでその禁断の果実に手を出すレイヤーもいそうですね。

千都 今、コスプレのメインの発表の場はTwitterですが、反響が数値でダイレクトに分かってしまいますからね。やはり女性レイヤーの場合、男性が好きそうな格好をする方がフォロワーは増えやすいですから。

――そして「飛影はそんなことしない!」的なやらかしをして炎上してしまうと……。

* *

 次回は最終回。大門氏、千都氏に引き続き「コスプレイヤーの悩みとは何か」「二次以外の一次、三次コスプレ」「中高年レイヤーの楽しみ」などコスプレのまだまだ知らない世界を紹介する。


 

(文/石徹白未亜 [https://itoshiromia.com/])

◆石徹白未亜の過去記事はこちら(【おたぽる】【日刊サイゾー】)から◆

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