Steamの普及の裏で……世界の動画投稿サイトではびこる「ゲーム本編の違法アップロード」

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　漫画村の首謀者が身柄を日本へと移送されたことで、海賊版をめぐる問題にも一つの区切りがついた。

　とはいえ、この世にマンガや音楽、ゲームなどがある限り、違法にコピーされたものが流通することは止めることができない。

　とりわけ近年問題になっているのはゲームのプレイ動画をめぐる問題。日本でもノベルゲームの英語版や中国語版を制作し、Steamなどで配信する事例が増えてきた。しかし、テキストと立ち絵で物語が進行する特性が凶となる場合もある。プレイ動画として、ゲーム本編すべてがアップロードされてしまっている事例があるのだ。

　たとえば中国の大手動画投稿サイトである「ビリビリ動画」でいくつかのノベルゲームのタイトルを検索してみると、ゲームの本編すべてを録画した長尺な動画が検索に引っ掛かることが多い。

　本来ノベルゲームというのは、自分のペースで文章を読み、立ち絵を楽しみながら酢埋めていくもののはず。ゆえにすべてをアップロードしたところでどれだけ視聴する人がいるかはわからない。ただ、こうした行為によって売上の数パーセント程度が減少しているのは、間違いないだろう。

　動画投稿サイトの普及と共に増加したゲーム実況系の動画は著作権的には問題を抱えながらも世界各国で行われている。問題なのは、そうした動画を投稿する人は罪悪感に乏しいこと。ゲームのほぼすべてを晒しておきながら「タダで宣伝をしてやっている」みたいな達成感を持っている者も珍しくはない。

　もちろん上記で記した「ビリビリ動画」にしても違法な動画投稿に対しては削除を行っているのだが、追いついてはいないようだ。なによりSteamで配信している制作者であっても、数多に存在する動画投稿サイトをチェックしきれてはおらず、削除要請ができていない場合が多い。

　結局は利用者のモラルに頼るしかないのか……。
（文＝大居 候）