炎上続く『ヒプノシスマイク』舞台化発表で思う、公式よお前の血は何色だ

で、出たー! 公式の必殺技「サイレント修正」だー!(Google検索画面より)

■『ヒプマイ』の2.5次元は単に「2.5が嫌」という問題ではない

 もともと供給を絞りオタクの妄想に頼ってきたジャンルなのに、やばたにえんなコミカライズをかましたのは悪手だった。これに懲りてしばらくはおとなしくしているのかなと思いきや、『ヒプマイ』はそれまでずいぶん稼いできた原資があるせいか、さらにオタクに「テコ入れ」という名の試練をたたきつける。それが「新キャラ追加」と「2.5次元舞台発表」で、これが第二次と第三次世界大戦だ。

 特に「2.5次元舞台発表」は公式Twitterのリプライ欄すら反対意見が殺到するほどよく燃えた。これは「2次元のキャラクターが2.5次になるのが嫌」というよくある話ではない。『ヒプマイ』の場合、2.5次元化するということは、『ヒプマイ』の根幹に関わってくる話になるのだ。

 この原稿を書いている2019年9月25日に『ヒプマイ』の公式ページを見ると「音楽原作キャラクターラッププロジェクト『ヒプノシスマイク』」とある。

 ここに江戸川コナン君がいれば「あれれ~、おかしいな~、僕が見てたときは『ヒプノシスマイク』の前についてる前口上の部分は「男性声優キャラによるラッププロジェクト」、もしくは『ヒプマイ』発足当初のニュース記事とかだと「男性声優12人によるラッププロジェクト」だったと思うんだけどな~」と毛利のおじさんと目暮警部に向け小首をかしげてくれるはずだ。

『名探偵コナン』のオープニングは「たった1つの真実見抜く、見た目は子ども、頭脳は大人、その名は『名探偵コナン』!」だ。この前口上の部分は不変であるべきで、次週「じっちゃんの名にかけて!『名探偵コナン』!」となってはいけない。この前口上の部分は、対象は何であるかの根幹を示していると言える。ここが変わらないから、安心して見ていられるのだ。

 しかし『ヒプマイ』はこの前口上部分を、コナン君の指摘通りちょこちょことサイレント修正している。そしてその変更から、こういう思惑が推測できる。

・「男性」を省く→女性キャラ出すことにしたし
・「12人」を省く→もともと3人×4チームの12人だったけど、増やすことにしたし
・「声優」を省く→2.5次元もやることににしたし

 キレのあるブレっぷり、と言える。

 これは「女子キャラが出てくる女性向けコンテンツが好きでない人」「当初の12人で話を進めてくれると思った人」「声優ファン」にしてみれば、そこ変えたらそもそもハマんなかったんだけど? となる、大きな要素だ。

『ヒプマイ』の場合、単に2次元が2.5次元になるから嫌という単純な話でなく、そもそも「男性声優キャラによるラッププロジェクト」として「男性声優」がキャラとして歌っていたのに、2.5次元の舞台としてまったく別の俳優がラップをするなら、それは『ヒプマイ』ではないのではないか、という点に反発が集まっているのだ。

 なお、原稿内で引き合いに出した『刀剣乱舞』は、もともとはゲームだが、アニメ、2.5次元、漫画など多展開を行っている。『刀剣乱舞』がファンに気を使っているなと思うのは「こういった他展開をいろいろ追わなくたって、刀剣乱舞は楽しめます」という姿勢を打ち出しているところだ。

 象徴的なものとして、『刀剣乱舞』のアニメの1つ『刀剣乱舞-花丸-』(TOKYO MXほか)では、これは「とある本丸」の話であることをナレーションで伝えている。「本丸」は『刀剣乱舞』をゲームでプレイするときの本拠地の名称だ。すでにゲームで親しんだ人の中には、後からのアニメで出てきた設定に抵抗感を持つ人だって出てくるはずであり、それを「これはとある本丸の話であって、あなたの本丸とは別の話です」暗に伝えたのだ。ホスピタリティを感じさせる。

『ヒプマイ』の運営がしていることはこれと真逆だ。魅力的なキャラデザと楽曲でオタクの妄想を存分に走らせキャラを人質にとったあと、バッドなバイブスがほとばしるコミカライズを「正史」としてはじめ、それを読まないと展開についていけないようにしてしまった。現に9月に発表された新キャラの一部はコミカライズで先に登場している。「コミカライズの内容が正史」であるなら、最初からコミックで進めるべきだろう。そもそも「ラッププロジェクト」なら「ラップありき」なのではないか。

『ヒプマイ』のコミカライズにおいては原作の百瀬祐一郎氏の責任は大きい。ただ、この「方針のブレっぷりと、そこから伝わるファンへの配慮のなさ」に関してはいち脚本家の責任ではなく、『ヒプマイ』というプロジェクトを管理する側の責任だろう。そもそも「百瀬氏を降板させる」判断だってできるはずなのに、今だそれをしないのは「偉い人」側の責任が大きい。

 ディレクターは見つけられなかったがプロデューサーはキングレコードの平野宗一郎氏とあり、いくつかのインタビューにも答えているのでここに記載しておく。でもきっと『ヒプマイ』は死ぬほど稼げただろうから、この燦燦たる焼け野原でも「成功」とみなされ出世するのかもしれない。

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