『詳説ジャーマンメタル』超厳選されたジャーマンメタルバンドの数々!本書を読んだ後、来年の夏はみんなでWOA!?

 ジャーマンメタルという言葉をご存じだろうか。読んで字のごとく、主にドイツ発のメタルバンドを総称する名である。しかし、いまではジャーマンメタルの祖と言われるハロウィンに近い音楽性を指す、メタルの1ジャンルとしても成立している。

 ハロウィンのような音楽性とは何か。簡単に説明すると、演奏面ではほどよくテクニカルでありつつもシンプルな構成であり、疾走感とメロディーの融合したハードな曲調のもの、となろうか。ここでハードな音楽としたが、曲によっては耳触りの良い一般的なロック調の曲などもある。

 メロディーを愛する日本のメタルファンにも、ジャンルとしてのジャーマンメタルを愛する人が非常に多い。ほどよくテクニカルで疾走感がある、ということからメタル初心者にも非常に受け入れやすく、若いメタルキッズからの支持も熱い。

 そんなジャーマンメタルをこれまた”ほどよく”解説した本が発売された。『詳説ジャーマンメタル』(シンコーミュージック)だ。作者はおたぽるでも活躍してくれている音楽ライターの奥村裕司氏である。

 本書の特徴は、ジャンルとしてのジャーマンメタルの歴史や代表的なバンドの解説に加え、世界最大のメタルフェスである、”Wacken Open Air”(以下、WOA)の歴史についても大きく触れていることだ。

 WOAの主催者であるトーマス・イェンゼンのインタビューは特に興味深い。第1回目のWOAの集客がトータルで1400人だったエピソードや、彼が意図せぬ形で巨大化していったことなど、日本ではなかなか聞けない話がてんこ盛りだ。

 また、LOVEBITESをはじめとした日本のWOA出演バンドにも取り上げていることにも注目だ。メタルというジャンルはその性格上、なかなか日本のバンドの注目度を上げにくいが、こうして世界と戦おうとしているバンドがいることを知ることになるだろう。

 それに加え、海外で活躍する日本人アーティストのSAEKOやマサ・エトー(JADED HEART)を取り上げていることにも注目だ。なかなか日本国内のメディアでは取り上げられれないふたりなので、非常に興味深いことが書かれている。

 気を付けてもらいのは、本書で扱われているバンドは超厳選されていることだ。コアなメタルファンからすれば、大好きなあのバンドやこのバンドの名前がないかもしれない。しかし、誰よりもコアなメタルファンである筆者の奥村氏も断腸の思いで選んでいるのだ。

 1つの音楽本として、メタル本としも非常に楽しめる。特にWOAに興味がある人は、その情報量の多さに驚くかもしれない。有名なあのバンドの新たな発見をこの本から見つけることができるかもしれないし、忘れていた何かを思い出すかもしれない。この本を読み終えたあなたは、本書を手に来年の夏、Wackenに立っているかもしれない。
(文=Leoneko)

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