NHKドラマ『だから私は推しました』ファンとアイドル、応援する者とされる者の微妙な関係を描き切った傑作!細かいネタもすばらしかった最終回!

NHKドラマ『だから私は推しました』ファンとアイドル、応援する者とされる者の微妙な関係を描き切った傑作!細かいネタもすばらしかった最終回!の画像1『だから私は推しました』公式HPより

 地下アイドルと出会い、オタク沼にハマったOLを待ち受ける意外な運命とは―。

 自ら愛したものに突き進むヒロインの転落と成長を、“地下”のディープな世界の中で描くドラマ『だから私は推しました』。第8話(最終回)がオンエアされた。

 『だから私は推しました』は、今期のドラマで間違いなくトップクラスに面白かった。30分ドラマで全8話と同じ構成なのに、ワーストナンバーワンドラマとなった『百合だのかんだの』と雲泥の差である。やはりドラマはセンセーショナルな内容云々ではなく、いかに丁寧に作られているかだ。

 1話から長々と愛の自供シーンとして推しのハナとのなれそめを語っていたのは、ハナがしっかりとラストライブをやり遂げるためだったと分かる冒頭。そう、先週事件について詳細を語った、瓜田が監禁をしたのは愛ではなくハナ。つまり、瓜田を突き落としてしまったのは、ハナだったのだ。

 事をそのまま警察に話すと、ハナは警察の取り調べを受けなくてはならない。そうすると皆が楽しみしていたラストライブにハナが参加できなくなってしまうのだ。

 事件現場にかけつけた愛は即座にその判断を下し、ハナと衣服を取りかえ自分が瓜田を突き落としたと警察に連絡したわけだ。

 「絶対にライブ来てくださいね!待ってますからね!!」と涙ながらにライブ会場に向かうハナの表情と声がすごい良かった。もちろん愛がライブ会場に行けることもなくライブは終了してしまう。そしてライブ終了後、ハナは取調室に現れる。ハナの罪をかぶろうとしていた愛の目論見は崩れてしまう。

 取調室に訪れたハナは愛のライブチケットをもぎり、愛に握手を求める。「私のカギ閉めするのは愛さんしかいないじゃないですか」と涙ながらに手を差し出すハナ。(※カギ閉め…握手会で最後にする握手を指す)

 二人とも涙を流しながらの握手のシーン、視聴者も全員涙だ。推されるアイドルとトップオタが共犯者となり最後のライブを守ってたどり着いた握手……。

 その後監禁騒動はもちろん報道され、世間的にも大きな問題となる。その余波でハナをかばったことなどが週刊誌から漏れ伝わり、愛も仕事をクビとなる。ハナもアイドル活動を続けることはできなくなる。(元々サニサイが終わったらするつもりはなかったようなので事件のせいではないが)

 事件からしばらくたち、オタ仲間たちとハナの不起訴を祝う飲み会が行われることになり、久々にハナに会えると喜び勇んで参加する愛。しかしそこにはハナの姿はなく、もう二度と皆の前にハナ姿を現すつもりがないということが告げられる。突然のことに理解ができない愛。しかし周りのオタたちはそれを受け止めている。その理由はライブ中のハナのMCに込められていた。

 ハナは嫌われていた過去があり、寂しさアイドルを志してサニサイに加入。ファンから名前をコールしてもらえたり、レスをもらえることが嬉しかったけど、サニサイが終わった後はもう皆の前に立つことはないかもしれない。だけど、ファンの方が教えてくれたように推すことは愛だと、自分が誰かに感じさせられるような生き方ができたらと思う、と。

 愛もこれに大号泣。それぞれの推しの言葉にオタも視聴者も涙がグッとこみ上げた瞬間だ。

 最推しがいなくなり仕事もクビになった愛は1年後、オタ仲間の法律事務所で働きつつ古巣のライブハウスでも働いているようだった。そして驚く事に、作中にもちょっと気になっていたオタ仲間の小豆さんと交際しているようだ。ラストにハナの近況を知ることになった小豆さんとのラインの会話が、まるで同棲しているカップルのそれっぽい内容で、ひそかに二人の仲を見守っていた視聴者大歓喜の展開であった。よく見てないと気づかない部分に、こういう細かいネタを仕込んでくれるサービス精神に感動。

 大きく明言するわけではないが、最後に愛の表情でさっぱりと終わりったこのドラマ。終わった後には公式の『だから私は推しました』の推すの部分のイラストが、突き落とすようなしぐさから、推しを応援するように変更されていたり、こだわりを感じる。

 推しへの愛が瓜田のように間違えてしまう行動を取らせるか、愛のように手を取りあって高みを目指す存在になるのか、ファンと演者の間の問題と、喜びをうまく描き切った素敵なドラマであった。

 炎上することもあったようだが、それを払拭するだけの力のあるドラマだったにちがいない。素敵なドラマをありがとう!!! またこんな毎週楽しく見られるドラマに出会いたい。
(文=三澤凛)

NHKドラマ『だから私は推しました』ファンとアイドル、応援する者とされる者の微妙な関係を描き切った傑作!細かいネタもすばらしかった最終回!のページです。おたぽるは、アニメ作品レビューの最新ニュースをファンにいち早くお届けします。オタクに“なるほど”面白いおたぽる!

- -

人気記事ランキング

XLサイズ……
XLサイズって想像できないだけど!!