めりぴょんの「外道はつらいよ」Vol.6

もし推しメンの無修正AV出演が発覚したら、ガチ恋オタクはどうなってしまうのか? 経験者へ聞いてみた

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<「外道はつらいよ」とは:10年代の混沌としたオタク世界を紐解こうと頑張るめりぴょんが気になる人物に会いに行き、あれこれ話を伺う対談コーナーです>

 こんにちは、めりぴょん/山野萌絵です。

 私は過去にガチ恋オタクでした。その際、「限界」とも称されるような精神状態を経験したためにそのような言葉を放ってしまうのもよくわかるのですが……ガチなオタクが極限の状態で放つ言葉って、強烈なインパクトとリリカルな切なさがありませんか?

 例えば、過去に某声優とミュージシャンの交際が発覚した際の「こんな思いをするのなら草や花に生まれたかった」なんか、定期的に思い出して「名文だな……」と切なさと共に噛み締めてしまうものです。

 そして、これは全ての女性を推しているオタクに当てはまることですが、推しがある日突然、無修正AVに出演していることが発覚し、その映像が流出したらあなたはどうしますか?

 平気だ、という人もいるでしょう。しかしこれを読んでいる中には「自分がどうなってしまうかわからない」という人もいるはずです。

 今回は、そんな後者のあなたのためにお送りする、実際に「推しの無修正AV出演が発覚したガチ恋オタク」へのインタビューです。

 取材に応じてくれたのは20代前半のゆうきさん。「アイドルオタクになったきっかけは、中学時代の野球部で流行っていたAKB48」と語る、AKB48直撃世代の彼は「高校生の時からガチガチのオタクだった」と言います。

「高2の時点で野球部のやつらは全員オタクを辞めてて、僕1人だけが残りました(笑)。AKB48のオタクを経て、地下アイドルにも足を運ぶようになりました。昔は『俺ってガチ恋なのかもしれない』と思っていたけど、今思うと全然違う」

 そんなゆうきさんがガチ恋をし始めたのは、数年前の秋のこと。ガチ恋相手は、ワンマンライブの動員がおよそ300人程度の、例えるならば中堅クラスの地下アイドルに所属していたAさん。ライブに通い、彼女の働いているメイドカフェにも通う日々が始まります。

「それまではアイドルに対して自分の感情をわりとありのままに言うタイプだった。けど、Aさんに対しては付き合いたいという感情が芽生えてしまって、嫌われたくないので『面倒くさいオタクにならないように』の一心でひたすら自分を押し殺していました。

 例えば、いつも通ってる僕より時々しか来ないオタクの方にボディタッチを”盛って”いるのを見ると、『おかしくない?』って言いたくなる。でも言ったってしょうがないから、寝て忘れるか、鍵アカにツイートするか、そんな感じで耐え忍んでました(笑)」

 その耐え忍び方は相当だったようで、ゆうきさんはよく他のオタクやアイドルから「チェキ待ってる時のゆうきくんは人を殺しそうな顔をしてる」と言われていたそうです。シンプルに怖い。

「現場に通っていて、楽しさとつまらなさの割合は2:8。ライブはつまらなくて、接触してる時しか楽しくないです。僕の推していたグループのライブは誰が見てもつまらなかったと思う(笑)。ガチ恋じゃなかったらそんなに通ってなかった。なのに続けてたモチベーションは、Aさんのオタクの中で自分が一番推されてる自信というか、感覚があったから。今まで推したどのアイドルより良くしてくれて、それがシンプルに気持ちよかったんですよね。でもTOにはなりたくなかった。TOってみんなと仲良くしなきゃいけない、それが面倒くさくて。Aさんから好かれてれば良かったんです」

 ゆうきさんはどうやら、「アイドルオタク」というよりも「Aさんのガチ恋」として黙々と現場に通い続けていたようです。じゃあ、Aさんがアイドルじゃなければ良かったと思ったりするんですか? と聞いてみると、それは違う、と切り出されてこう続きます。

「結局Aさんが僕に対応してくれるのって、お金を払って、毎回ライブに来て、それありきで。そのことはちゃんとわかってました。相手はお金をもらっているがゆえに、ワンクッション置いてこっちに発言してくるから、心のどこで『Aさんは本音と違うことを言ってるんじゃないか?』って疑心暗鬼があって、つらかったですね。だから、早くアイドルを辞めてほしいとずっと思ってた(笑)。相手からの好感度が常に100だと仮定しても、それが普通だとしたら偏差値でいうと50くらいになっちゃう。それが嫌でした。終わらせたいと思ってた」

 ガチ恋ゆえのジレンマ。お金を払っているがゆえのジレンマ。地下アイドルという環境で距離が近ければ近いほどそのつらさは鮮明になっていくものなのですね。でも『終わらせたい』はちょっと極端すぎるのでは? と思ったのですが、聞いてみるとその理由もなんだか刹那的です。

「長いこと推してると、良い対応が普通になって『もっと良い対応を』って求めてしまうのが怖いから早く辞めてほしかった。結局いつかは終わりが来るじゃないですか。僕はAさんに対して、アイドルとしてじゃなく女の子として向き合いたかった。でも、Aさんがそれを無理だと思ってるなら、こんな虚しいお金の使い方はないから。地下アイドルのオタクをしていて、アイドルとオタクの関係ほどくだらないものはないなって」

 そんなゆうきさんに突然、「推しの無修正AV出演発覚」というショックが襲いかかるのは、ある冬の早朝のことでした。

もし推しメンの無修正AV出演が発覚したら、ガチ恋オタクはどうなってしまうのか? 経験者へ聞いてみたのページです。おたぽるは、インタビューその他連載の最新ニュースをファンにいち早くお届けします。オタクに“なるほど”面白いおたぽる!

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