映画『二の国』、脚本もアレだが、演技も作画も普通に低クオリティー「なぜこうなった?」を真面目に考察してみた

■『二の国』でも吹き荒れた日野脚本のダメぶり

 ネット上でもいろいろな人が指摘しているとおり、映画『二の国』の気になるところは、何と言っても日野社長の脚本です。細かく具体的にあげていくと、おそらく2万字ほど必要になりますし、ネタバレにつながります。箇条書きで無理矢理まとめます。

・キャラクターが、やばい人なのでは? というぐらい察しが悪く、一人よがり
・キャラクターが、ニュータイプか? というぐらい察しが良すぎる
・キャラクターが、RPGのキャラクターのように棒立ちになっているシーンが多すぎる
・キャラクターの年齢を原作ゲームから引き上げたのに、キッズ向けゲーム・アニメっぽい演出や言動が目立つ
・キャラクターのセリフで、すべてを説明させてしまう
・尺がないとはいえ、展開が豪快すぎる
・尺がないはずなのに、ギャグが多い
・ミステリーを名乗っているのに後出し要素が多すぎる
・その設定、必要だった? という設定が多い、詰め込みすぎ

 まだ指摘したいポイントはありますが、おおむねこんな感じになります。

「ふたりの彼女、救えるのはひとつの命」という物語の装置は秀逸だと思いますし、ラストには原作ゲームファン向けの小粋なエピソードも用意されています。よくよく見ると、光るところはあるのですが、そういったポイントに触れるスキを与えてくれません。

 一代にして、レベルファイブをここまで大きいゲームソフト開発・販売会社に導いたのです。ゲームの脚本家・プロデューサー・ビジネスマンとしての日野社長は、超がつくほど有能であることは間違いありません。

 また、『レイトン教授』や『イナズマイレブン』、『妖怪ウォッチ』といった、作品の劇場版アニメでも日野社長は脚本を務めています。それらの作品では、今回のような事態を招いていません。

 キッズ向けアニメでは細かいストーリーの帰結よりも、キャラ立ちやリズミカルな展開が重視されます(幼稚だと言っているわけではありません)。日野社長の豪快なストーリーテリングも、キッズ向け作品、あるいはゲームやTVアニメですでにファンがキャラクターや世界観を把握していると、問題にならないのでしょう。

 しかし、映画『二の国』は原作の設定や世界観こそ踏襲しているものの、ストーリーはオリジナルで、原作ファンもキャラクターを把握していません。その上、キャラクターの年齢を引き上げ、命の選択と恋愛というシリアスなテーマを据えたことから、鑑賞者もシリアスに物語を受け止めたことから、映画『二の国』の評価はアレな感じになってしまったのだと思います。

 思えば、日野社長は、初めて自社製作ゲーム以外でのTVアニメシリーズの脚本を担当した、『機動戦士ガンダムAGE』でも物議を醸したものです。映画『二の国』で指摘されるポイントと、『機動戦士ガンダムAGE』で指摘されていたポイントはよく似ています。日野社長自体はブレていないのでしょう。

 ふと思ったのですが、日野社長はレベルファイブの代表取締役で、映画『二の国』では製作総指揮/原案・脚本とクレジットされています。制作現場や脚本会議の場、あるいは製作現場で、日野社長の脚本に異を唱えられる人がいるのでしょうか。酷評を招く脚本の出来には、そういった組織作りが影響しているのではと考えるのは、穿ち過ぎでしょうか。

 新海誠監督は、東宝の川村元気プロデューサーという名パートナーを得たことで、『君の名は。』『天気の子』という超ヒット作を生み出しました。脚本家・日野晃博も、対等にモノを言えるパートナーを得れば、どえらい傑作を世に送ってくれるかもしれません。『機動戦士ガンダムAGE』、映画『二の国』をも超えるアレを、放ってしまうかもしれませんが。
(文/馬場ゆうすけ)

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