現在、夏組単独公演が絶賛上演中!

2.5次元舞台はそうじゃない舞台より「低い」ものではない――舞台『A3!』演出・松崎史也氏インタビュー

■皆木綴もしている「当て書き」はラブレターのようなもの

――『A3!』は劇場を舞台にしたゲームで、脚本を担当するキャラクター、皆木綴は「当て書き(演じる俳優をあらかじめ決めておいた状態で脚本を書くこと)」で書いています。

 松崎さんも脚本を書かれていますが、当て書きとそうでない脚本のそれぞれのメリットとデメリットは何でしょうか?

松崎 当て書きはめちゃくちゃメリットがありますね。人柄や技術力を踏まえてセリフをかけるので、この人だったらこのぐらいに長くて重くて扱いの難しいセリフを書いても大丈夫だろうとか。この人がこの言葉を言うとすごく良くなるとか。逆にこのセリフを突きつけることでこの人を稽古中悩ませてやろうとか。ラブレターのような感じで書いている側面もありますね。あなたにこれをやってほしいと。完成図をイメージしやすいんですよね。当て書きのデメリットというのはほぼないと思いますけれども、想像の範囲外に行きにくい点はあるかなと思います。

 なので「当て書きじゃない」脚本は、これのほぼ裏返しです。メリットとしては予想もしていなかった魅力が出るとか、このセリフがこんなにいい言葉になるとか。

 この間『魍魎の匣』という演劇を上演し、演出を担当したんです。原作は京極夏彦さんの小説ですのでそもそも「当て書き」はできないですし、さらに初対面の俳優が多かったのですが、こちらを俳優たちが技巧や情感豊かにやっているのを見て、素晴らしいなと思いました。当て書きじゃない脚本はある意味制限がないので、初見でできなくても、できるまで練習するという楽しさがありますね。

――「MANKAI STAGE『A3!』」から、松崎さんはどういった影響を受けましたか?

松崎 作品から受けた影響として一番大きなやはり自分は演劇が好きなんだなということですね。

――それは『A3!』が演劇がテーマだからですか。

松崎 はい。それぞれの台詞やそれぞれの生き方が演技に出ているということなども含めて、演劇というものをもう一度俯瞰で見つめ直し、そのまた隣の中に飛び込んでそれを再現する行為をしたことで、改めて気づかされましたね。

(文/石徹白未亜 [https://itoshiromia.com/])

■松崎史也 プロフィール
1980年3月26日生まれ、東京都出身。演劇企画『SP/ACE=project』主宰。脚本家・演出家・俳優として活躍しており、『人狼 ザ・ライブプレイングシアター』シリーズでは演出を手掛けるほか、「医師 マドック」役で出演。主な演出作は『プリンス・オブ・ストライド THE LIVE STAGE』シリーズ、「MANKAI STAGE『A3!』」シリーズ。現在、「MANKAI STAGE『A3!』~SUMMER 2019~」が絶賛公演中。

Twitter:@fumiya326

 

◆石徹白未亜の過去記事はこちら(【おたぽる】【日刊サイゾー】)から◆

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