結論から言えば、「見ないようにする」のが一番である。
アイドルファンに求められる能力のひとつに「見えているものだけを信じる力」というのがある。ステージ上で仲良さそうにしていれば、それを信じる。スキャンダル報道があった時に「私は潔白です」と言えばそれを信じる。限りなく怪しいと思っていても、1%でも可能性があればそれを信じるのだ。それが、幸せにオタクを続けるコツでもある。
私などは、チェキのサインに「大好き!」などと書いてあれば、頭では「全員に書いてるんだろうな」とわかりながらも、「もしかすると俺のものにだけに書いてくれたのかも」と思い込んで、ひとり悦に入ったりするほどである。
さて、メンバーのトラブルに悩んだハナ(白石聖)は、愛(桜井ユキ)に相談する。運営からも、メンバー内でなんとかするように言われたという。
正直、ここは運営にも問題があるだろう。心ある運営であるなら、どうメンバーをまとめていくか真剣に考えるべきだし、何かあったら自分たちが泥をかぶるぐらいの覚悟はあってほしい。噂レベルの話ではあるが、メンバーの不仲で解散に至ったあるグループの公式発表で、「解散の理由はただ運営側の都合です」とだけ言い続けたところもあるという。それが正しい運営の姿勢だと思う。
ハナの働きかけも虚しく、サニサイは解散する方向へ動く。それを聞いた愛は、メンバーの説得に行こうとするが、ハナはそれを止める。
「これは私たちで解決できなきゃいけないと思う」
そう言ってメンバーの元に向かったハナが見たのは、仲直りをし、またサニサイを続けようとしている凛怜と花梨の姿だった。実は二人とも、自分を推しているオタクの言葉に背中を押されたのだった。
オタクがよく呟く言葉に「俺って必要なのかな?」というものがある。推しにとっての自分の存在意義に疑問を感じた時のものだが、それに対する答えが、このドラマで示されているようだ。
“ファンの言葉が一番の救いになる”
そんなファンタジーのような姿が、ここには描かれているのだ。
今回の一件で、ハナがかなりしっかりしてきたと感じる人は多いのではないだろうか。愛が警察に取り調べを受けている背景も、少しずつその謎が解明され、ドラマもクライマックスに近づいているのがわかる。そして、見ている人はそれぞれの役柄に感情移入し、愛も、ハナも幸せになってほしいと思っていることだろう。そう、このドラマはそれを伝えようとしているのだ。今あなたが抱いたその気持ちこそが「推し」の始まりなのである。
(文=プレヤード)
「ファンの力」を描いた極上のファンタジー――ドラマ『だから私は推しました』第5話のページです。おたぽるは、その他、連載、NHK、ドラマ、地下アイドル、プレヤード、アイドル深夜徘徊、だから私は推しましたの最新ニュースをファンにいち早くお届けします。オタクに“なるほど”面白いおたぽる!
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