運命を受け入れる勇気と、運命に立ち向かう勇気――ドラマ『ルパンの娘』第6話

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YouTubeチャンネル「フジテレビ番組動画」より

 私は運命論者ではない。

 もちろん、宗教家でもなければ神様でもないので、本当のところがどうなのかは知らない。ただ、どうせ分からないのなら、自分の考えや行動でこの先の人生が変わっていくと考えたほうが楽しいし、頑張れる気がする。ただそれだけの理由だ。

 そうは言っても、何か苦しい状況や、信じられないような出来事に直面した時、「これは運命かも」と思うことはある。でも、そんな時は考えてみてほしい。その運命を受け入れることもできるし、逆らって生きることもできる。“逆らう”という自由がある限り、少なくも運命は、絶対的な存在なんかではないのだ。

 ドラマ『ルパンの娘』(フジテレビ系)第6話。主人公の2人は、まさにその悩みに苦しんだことだろう。

 

■2人は別れを受け入れたようにみえるが……

 恋人の華(深田恭子)がLの一族であることを知ってしまった、和馬(瀬戸康史)。泥棒の一族と、警察官の一族が結婚できるわけがない。2人は別れを決意し、お互いに会うことはないまま日々を過ごしていた。

 正体が明らかになったとはいえ、華たちが逮捕されることもなかった。和馬は、逮捕すれば捜査一課に移れるかもしれないというのに、Lの一族のことは警察で口外しなかったのだ。

 自分の決断は正しかったのか。悩んだ和馬は、それとなく父・典和(信太昌之)に相談する。

「もし、母さんにずっと嘘をつかれていたとしたらどうする?」 そんな和馬の問いかけに、典和は答える。

「嘘の奥に秘めているのが何なのか。そこまで見抜くのが本物の刑事だ」

 嘘の奥に秘めたもの――華にとってのそれは、和馬への愛情に他ならない。同じような状況に置かれて、和馬は初めて、華の愛情の深さと、嘘をつくことのつらさを知ったのだ。

 そんな頃、華の父・尊(渡部篤郎)と母・悦子(小沢真珠)は、新たなターゲットを見つけていた。100億円の価値があるという名画「追憶」だ。期間限定で日本の美術館に展示されるという。そして、その絵を国際窃盗団「ブラックマンバ」も狙っているらしいのだ。

 もちろん、ブラックマンバについては、和馬たち警察も動いていた。ここでドラマを見ている人は、どこで、どんな形で華と和馬が再会するのかとドキドキさせられる。

 早速美術館に下見に行くという尊と悦子。それを聞いた華は、自分も行くと告げる。
 
この華の心境の変化は、どういうことだろう? 今までは、自ら進んで泥棒をすることはなかった。しかも、和馬に自分の正体がバレているのだ。捕まるリスクは高いはずだ。

 この時、華は運命を受け入れたのだ。脈々と受け継がれてきた泥棒の血脈。そして、自分にはその才能もある。決して苦しい人から盗みをはたらくわけではない、悪いことをし、弱い者を苦しめている人から奪い取るのだ。自分の運命を信じ、そんな決意をしたのではないだろうか。

 

■それぞれに寄せられる想い

 ある休日、和馬は、先輩・巻(加藤諒)の策略で、かつて見合いをした、元警視総監の孫・橋元エミリ(岸井ゆきの)とデートすることになる。エミリから、「相談があれば話して欲しい」と言われるものの、話す気にはならない。和馬は自分に「彼女とは別れる運命だった」と言い聞かせるのだ。

 何かうまくいかないことが起きた時、“運命”ということで片付けるのは簡単だ。それは心情的にではなく、思考として。でも、えてして論理的な考えは、本当の気持ちとは相反するものだ。頭では納得しているのに、気持ちはどんどん苦しくなる。和馬はまさにその状況に陥ったのだろう

 一方の華の方にも想いを寄せる男性が現れる。それは幼馴染の円城寺(大貫勇輔)だった。彼は、泥棒の仕事でしばらく海外に行くという。和馬と華が別れたことを知り、お得意のミュージカルで気持ちを告白する。

 和馬も華も、別の誰かに想いを寄せられることによって、改めて心の中の本当の気持ちに気づいたのかもしれない。

 その頃、警察内部では不穏な動きがあった。上層部から、「どんな手を使ってでもLの一族を逮捕せよ」「もしLの一族を見つけたら、殺してもかまわない」という指示が出たのだ。

 いよいよ名画を盗み出すという時、華は自分一人で行くことを決断する。そして和馬も現場に向かう。

 一度は窃盗団から盗んだ絵を奪い取った華だったが、逆に捉えられてしまう。そこに和馬がやってくる。和馬は、仲間に嘘をついて華を助ける。今までいつも助けられてきた。いくつもの手柄を挙げられたのも華のおかげだ。その恩返しのような気持ちもあったかもしれない。

 結局、絵を盗むことはできなかったものの、Lの一族が捕まることはなく、華は無事逃げ切ることができた。

 事件の後、和馬は、これまでの実績を買われて、念願の捜査一課異動の辞令を受ける。
 今までのことを振り返り、本当に大切なものは何かに気づいた和馬は、華の職場を訪ねる。

 全てを知った上で、和馬は華に言う。

 「この運命を一緒に乗り越えよう」

 そうして、改めてプロポーズをするのだ。

 和馬にとって「運命」とは何だったろう? そして、華にとっての運命とは? 別れるのも運命、結ばれるのも運命、捉え方によっては、どちらも同じ“運命”なのだ。ならば、自分の心に正直になったほうがいい。精一杯の愛の上に行動をすれば、どのような結果になっても、後悔することはないはずだから。

 もちろん、決断した2人には、想像もできないような苦難が待っていることだろう。警察上層部に、Lの一族を狙っている誰かがいる。そして、何やらエミリもこの件に関わっている様子だ。

 運命に立ち向かう2人の結婚、一体どんなことになるのか、想像がつかない。

(文=プレヤード)

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