“生涯ドルヲタ”ライターの「アイドル深夜徘徊」vol.33

夏の日、また僕たちはここに帰ってきた!――『TOKYO IDOL FESTIVAL 2019』参戦レポート

2019.08.13

リストバンドをつけてスタート

 2010年8月、私は、生まれてはじめて経験する「アイドルフェス」というものに、幾分戸惑いと興奮を覚えながら、会場である品川プリンスホテル周辺に足を踏み入れた。そこには、ホスト役を務めていた、「アイドリング!!!」や、大ブレイクする前の、「ももいろクローバー(当時)」、「でんぱ組.inc」など、計45組のアイドルが集まり、なにか新しいことが始まる胎動のようなものが感じられた。

 あれから10年、今年、『TOKYO IDOL FESTIVAL(TIF)』は10回目を迎え、200組以上の出演アイドルと88,000人もの来場者による、一大イベントとなった。

 毎年通い続けたTIFも、さまざまな事情から、運営方法などが変わってきた。そして、歴史を積み重ねてきたからこその、新たな意味合いも感じることができた。今回、私の参戦した内容を振り返りながら、その意味合いについて考えてみたい。

 

■1日目(8月2日)

 初日の朝、テレコムセンター駅から、メイン会場の一つとなるフジテレビ湾岸スタジオの前に入っていく。一番大きな屋外ステージである「SMILE GARDEN」では、オープニングステージが始まっている。まだ10時前ではあるが、暑い日差しが照りつけている。引換所でリストバンドをつけてもらうと、いよいよ「TIFに来たな」という実感が湧いてくる。

 そのままSMILE GARDENの有料エリアに入ろうとすると、かなり厳重な荷物チェックが行われていた。

 実は、今回のTIF、直前になって、SNS上に「(出演予定の)i☆Ris、わーすたメンバーと来場者に対し危害を加える」という書き込みがあり、出演を見合わせたり、特典会をキャンセルしたりというグループが出るなど、問題になっていのだ。

 当然、手荷物検査の厳しさもその影響を受けていたと思われる。これまで特に制限されていなかった、制汗剤などのスプレー缶も全て没収・破棄となり、事前に明確なアナウンスもなかったこともあって、参加者からは不満の声も聞かれた。

 そんなチェックも無事終わり、観覧エリアに入場する。今日一番の目玉は、なんといっても4年ぶりに復活する「アイドリング!!!」である。先にも書いたとおり、元々このフェスは彼女たちを中心に始まったものであり、他のグループ再結成とは、また違った感慨があるのだ。

 10時過ぎ、ステージに現れた12人のメンバーに、会場から大きな歓声が上がる。相変わらずの楽しいMCをはさみながら、「ガンバレ乙女(笑)」や「やらかいはぁと」など、盛り上がる曲を連発し、懐かしさあふれるステージとなった。

 ライブ後、会場を歩いていると、昔アイドリング!!!の現場で知り合ったオタクにも再会できた。こういうのもフェスの楽しさのひとつである。

 会場内ではワゴン販売の食べ物なども売られている。お昼も近かったので、ケバブを購入。あちこち見て回る忙しさの中でも、手軽に食べられるのがいい。フェスで食べるケバブはまた格別の味だ。

 お腹も満たしたところで、物販エリアへと向かう。以前は物販エリアと特典会エリアが一緒だったため、入場時のチェックが厳しかったが、今回はそれぞれ別になっており、物販エリアは、リストバンドを見せるだけで入ることができた。尚、ここはあくまでもスタッフがグッズなどを販売するのみで、アイドルは入ることができないそうだ。

 続いて向かったのは、フジテレビ湾岸スタジオの屋上に作られた、「SKY STAGE」。たどり着くまでにエレベーターと階段を乗り継がなければならないが、とにかくロケーションが素晴らしい。フジテレビの本社社屋や、海、観覧車など、お台場の景色が一望できる。そんな環境でアイドルが見られるのはTIFならではであろう。

 いくつかのグループのライブを見た後、下に降りる。いよいよ特典会エリアだ。握手会など、普通の特典会もいいが、「TOKYO IDOL 縁日」と題されたアトラクションに行ってみることにする。

これは、昨年まで行われていた『アイドル横丁夏祭り!!』というフェスでも行われていた人気のコーナーだ。水槽に浮かべられた金魚の風船をアイドルに見守られながら釣り上げ、それにサインを入れてもらえるというもの。

 ここでは、元「アイドルネッサンス」で、今回は「開歌-かいか-」というグループのメンバーとして出演している百岡古宵からサインをもらった。もちろん、釣り上げるときはお話もできて、楽しいひとときだった。

 満足してSMILE GARDENに戻ると、ステージ上ではDDTプロレスが始まっていた。大石真翔や男色ディーノといった現役プロレスラー、元アイドルの伊藤麻希、現役アイドルからは、「転校少女*」の塩川莉世、「ハコイリムスメ」の我妻桃実といった面々が入り乱れ、客席近くに移動しながら戦いを続ける。最終的には我妻が大石に技を決め、優勝となった。アイドルフェスではありながら、このなんでもあり感がまたTIFの良さでもある。

 続いて覗いたのは、アイドルによるアイスの販売コーナー。ここでは、粒状になった新感覚のアイス「ディッピンドッツ」をアイドルから買える。ちょうど、「マジカル・パンチライン」のリーダー・沖口優奈が販売していたので、1つ購入。言葉も交わせたし、火照った体にアイスが染み渡り、二重に美味しかった。

 夕方は、ダイバーシティ東京前のステージで、今年5月にデビューしたばかりの開歌-かいか-のライブを見る。「ベイビーレイズJAPAN」の「夜明けBrand New Days」や、「ぱすぽ☆」の「少女飛行」など、これまでTIFで伝説を作ってきたグループの曲を、アカペラにして聴かせる。これは圧巻であった。これからのTIFを自分たちが背負っていくというような意思を感じた。

 時刻は19時前、炎天下のお台場をあちこち歩きまわってバテてきたので、初日はこのあたりで引き上げることにする。

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