中国版コミケ「COMICUP24」参加記録 中国語が行き交う茨城空港。オバサンとの対決も……【その1】

 この時自分たちは食堂で待っていたのだけれども、窓口前は長蛇の列。とにかく列には、なるべく早く並ぶのが中国の国民性なのだと完全に理解する。

 さて、チェックイン時間。列は意外にもサクサクと進んでいく。その一方で係の人はとにかくせかす。荷物を預けたらすぐに出国審査を受けろという。アナウンスも「12時20分までに出国審査を通過してください」といいだす。出発時間の一時間も前。空港が広大なわけでもないのに。なにごとかと思ったら、列に並んでわかった。

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 出国審査の手前。荷物検査のゲートはたった一つしかないのである。なるほど、これは時間がかかりそうだ。羽田や成田のそれとは違い、ほとんど廊下に機械を置きましたという雰囲気の荷物検査を通過。出国審査を受けた先の搭乗口もやっぱり地方空港のそれ。あと40分もすれば出発時間。免税店でタバコとかを買って立って待っていればいいかと思っていた。

 ところがである。いつまでたっても搭乗は始まらず、いよいよ出発時間になろうとした頃にアナウンスが流れる。

「管制指示により、出発時間は16時30分に変更になります」

 さすがにあちこちで、どよめきが起こる。どうも、茨城空港側が自衛隊機とのやりくりで、出発が遅延。結果、混雑している上海の浦東空港側が受け入れできないということになったらしい。

 3人顔を見合わせながら「一人じゃなくてよかったよね……」と、慰めあう。もし、この狭い待合室に1人だったら、どれだけ疲労が溜まったか。しかし、約3時間の出発の遅れは凄まじい。着いたら、その辺で牛肉麺でも食べようと昼飯を軽くしていたというのに。それは、日中の誰もがそうだったのだろう。免税店からは瞬く間に、食べ物が消えた。幸運な人はカップ麺を啜っているが、そうじゃない人は、じっと我慢の時である。

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 すると、警備の人がやってきてパイプ椅子を並べ始める。せめて、みんなに座ってまってもらおうという心遣いか。

 と、時計が3時を回り「まだ、1時間半もあるのか」と思っていると、突然アナウンスもなく搭乗手続きが始まる。どうなってるかわからないが、とにかく飛ぶらしい。きっと、遅延時間を長めにいっておこうという作戦なのだろう。

 とにかく搭乗した飛行機は、無事に離陸……しない。滑走路に向けて飛行機が走っている中、慌ただしくキャビンアテンダントが荷物棚をチェック。その間にすでに、別のキャピンアテンダントが救命胴衣のジェスチャーを。

 ああ、これはあれだ。飛行機事故専門ドキュメンタリー『メーデー』でよくある、遅延したので慌てて飛んだらミスして墜落するやつだ。「あの日、彼はいつものように家を出ていったのです〜」とか遺族がインタビューに答えているシーンが浮かぶ。滑走する間「V1」とか「ローテート」とか、悪趣味な笑いでも考えていないと、落ち着かない。

 それでも、飛行機はなんとか安定飛行へと入った。では、安心して一眠りと思えば、となりに座っている中国人の男性が話しかけてくる。

「こんなの、はじめてだよ」

 なんでも仕事のために日中を往復するために100回以上乗っているというが、ここまで酷い状態での出発は初めてだという。そんなボヤく男性だが話が面白い。

「何人か赤いバッジをつけているでしょう。中国共産主義青年団のやつ。たぶん、最近はつけるように指示されているんだよねえ」にはじまり、あれこれと話してくるので、こちらも楽しくなってくる。一時流行った「反日」の行動には批判的な意見を述べるのだが「一度、参加してみたんだけど、大通りで叫ぶのは気持ちいね、アレ」という。そして、日中はもっと関係を強化すべきだとして「昔は、大東亜共栄圏もあったじゃないか」というのである。

 以前、秋葉原でプラモデルを見ていたら中国人の夫婦に「子供のお土産に零戦を買おうと思うんだけど、タミヤとハセガワとどっちがいいの? あと、21型と52型だとどう?」と、英語で尋ねられたことがある。うん、やっぱり聞くと見るとでは違う。

 そうこうしているうちに、なんとか飛行機は浦東空港へ。速いけれども、すぐに終わるリニアモーターカーに感動し、地下鉄の距離の長さに大陸の広さを感じながら、ようやくホテルにたどり着き、1日目は終わった。

~続く~

(文/昼間たかし)

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