“生涯ドルヲタ”ライターの「アイドル深夜徘徊」vol.32

「厄介オタ」にならないために――ドラマ『だから私は推しました』第2話

 そもそも、好きな人にお金をつぎ込むという行為は、気持ちのいいものだ。私だって、潤沢な資金があれば、チェキ券を大量買いしてみたいし、相手が喜ぶようなプレゼントを、たくさんしてあげたいと思う。

 しかし、問題となるのは、彼女につくはずであったファンを、その行為によって減らしてしまっていることなのだ。100枚のチェキ券を1人に買ってもらうのと、1枚のチェキ券を100人に買ってもらうこと。売上は同じでも、リスクが全く違う。仮に1人のファンが離れた時に、どちらの損害が大きいかを考えなければいけないのだ。

 愛情には“どこまで先を見据えているか”というスパンがある。目先のことだけしか考えない愛情は、幸せにはつながっていかない。1年後、10年後、彼女がどうなっているか、それを考えて向けられる愛情こそが、意味があり、尊いのだ。

 もう一つ、悔し紛れに言うわけではないが、限られた資金の中で「今日は何枚チェキを取ろうか」「ライブは何回行こうか」と考え、やりくりするのは、それはそれで楽しいものだ。制限があるからこそ、その1回に思いを込めて、気持ちを伝えられるということもある。要は、自分の身の丈に合った応援をすることが大切なのだ。

 ライブ後、ハナからも、瓜田につきまとわれて困っているという話を聞いた愛は、なんとかできないかと考え、ひとつのアイデアを思いつく。それは、個別に販売していたチェキ券を、グループごとの販売に変え、個人へのキックバックとはならないようにするというものだった。そうすることによって、瓜田は、ハナ一人に貢ぐということができなくなる。彼は、別にチェキをたくさん撮りたいわけではなく、「ハナは自分が支えている」という満足感を得ていたにすぎなかったのだ。

 作戦はうまくいき、瓜田は騒ぎを起こしてライブ会場から連れ出されてしまう。それを見たハナは、愛に感謝を伝えるのだった。

 一件落着といったところだが、これからまた問題が起きていく気配だ。

 最初の「地下アイドル」の話にも通じるが、何かを楽しむのには、心の余裕というものを持ったほうがいい。このドラマにしたって、自分の感覚と違うところや、行っている現場と違うルールなどが出てくるかもしれない。それにいちいち目くじらを立てるのではなく、「なるほど、こういうところもあるのね」と話題にする程度にとどめておくのがよいだろう。そうでなければ、あなた自身が、瓜田のような「厄介」になりかねないのだから。

 私は、この作品から、地下アイドルに対する愛情やリスペクトを十分に感じる。愛やハナや、他のオタク、他のメンバー、みんなライブの現場やアイドルという存在を愛していることだろう。多分、事件はそんな空間での、ささいなすれ違いから起きてしまったのだ。アイドル現場での諍いやゴタゴタが問題となる中、その実情を知らしめ、考えるきっかけを与える、有意義なドラマになっていると思う。

(文=プレヤード)

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